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院生と准教授、強い師弟関係…殺害の動機見えず

 院生と准教授、強い師弟関係…殺害の動機見えず

 福井県勝山市で12日に教え子の東邦大大学院生・菅原みわさん(25)(勝山市本町)を絞殺したとして、県警が福井大教職大学院特命准教授・前園泰徳容疑者(42)(同市長山町)を殺人容疑で逮捕してから21日で1週間が経過した。

  前園容疑者が学部生時代の菅原さんを指導し、その後も勝山市で共に赤トンボの生態調査や環境教育を続けていたことなど2人の師弟関係が明らかになる一方で、殺害の動機は見えてこない。

  ■「密室」の犯行

  捜査関係者によると、事件発生の12日朝、菅原さんが軽乗用車を運転して前園容疑者方を訪ねたとみられる。前園容疑者は菅原さんの車に乗り込み、同市村岡町浄土寺の市道に止めた車内で菅原さんを殺害した疑い。その後、菅原さんが交通事故を起こしたと装い、自らの運転で遺体を福井勝山総合病院まで運んだ。司法解剖では死因は窒息死。

  座席の痕跡などから、前園容疑者は助手席の菅原さんを素手か腕で絞め殺したとみられるが、人けのない場所での車内という「密室」の犯行で、裏づけは難航している。当時、数十センチの積雪があったにも関わらず、前園容疑者は樹脂製のサンダル履きに軽装だったことなどから、県警は突発的犯行との見方を強めている。

  前園容疑者は当初、県警の事情聴取に「菅原さんから『事故を起こした』と聞き、自宅から徒歩で助けに行くと車内でぐったりしていた」と説明。その後、殺害の事実は大筋で認めながらも供述は変遷しており、県警は前園容疑者の自宅や職場を捜索して押収した資料や携帯電話を解析して動機の解明を急いでいる。

  ■赤トンボ

  菅原さんは、千葉県成田市出身で東邦大理学部(千葉県船橋市)に進学。前園容疑者も2009~12年に同大非常勤講師として生命圏環境科学科で教べんを執り、同科に在籍して赤トンボの研究をしていた菅原さんを指導したという。

  11年7~8月、菅原さんは前園容疑者が勝山市で行った野外実習に参加。実習で菅原さんは羽に印の付いた赤トンボを法恩寺山頂で捕獲した。印は以前、前園容疑者が平地で羽化したばかりの成虫に付けたもので、赤トンボが平地から高地に移動することを実証した国内初の発見だったという。

  さらに、12年3月から長期間、同市内に住み込んで赤トンボの研究を継続。大学院進学後の昨年春頃には市内に研究拠点を移し、同年10月に大学院を体調不良で休学した後、今年1月に住民票も移した。

  研究パートナーの前園容疑者とは家族ぐるみの付き合いだった。近所の住民は前園容疑者の妻や子どもと談笑する菅原さんの姿を度々目撃。近くの主婦は「みんな親しそうに話していて、事件が起きる風には全く見えなかった」と話す。

  19日の葬儀後、菅原さんの両親は真相解明を望むとする談話を発表。その中でこう記されていた。「娘は勝山の人々や自然が大好きでした。これからも私たちはその娘の気持ちを大切にしていきたいと思います」(吉田雄人)

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