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<国連防災会議>人材育成4万人 首相、途上国に協力
第3回国連防災世界会議が14日、仙台市で開幕し、今後15年間の新たな防災行動指針の採択に向けた議論が始まった。開会式や公式演説では、各国の首脳、閣僚級が防災対策や国際支援の重要性を強調。このうち、安倍晋三首相は、各国の防災対策などに今後4年で総額40億ドル(約4900億円)を拠出する「仙台防災協力イニシアチブ」を表明した。各国で防災・復興にあたる計4万人の人材育成も盛り込んだ。東日本大震災など日本の経験を踏まえ、世界の防災対策への貢献をアピールする狙い。
【防災、強力枠組みを 国連総長期待】
同イニシアチブは、災害の発生直後に日本が行う緊急援助や一時的な復興支援にとどまらず、インフラや法整備、人材育成などで途上国の防災対策に協力する。政府開発援助(ODA)で全額支出し、「地震対策など他の先進国の取り組みが薄い分野を重視する」(政府筋)としている。
首相は同日、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長のほか、タイ、トルクメニスタン、スワジランド、バヌアツ、ルワンダの5カ国首脳と会談。13日の大型サイクロン通過で多数の死者や被害が出ているバヌアツのロンズデール大統領に対しては「可能な限り支援したい。迅速な対応を日本政府内に指示した」と伝えた。
また首相は午後の首脳・閣僚級会合で、東日本大震災の経験も踏まえ、「防災・復興に女性の力が不可欠だと強く認識するようになった」と強調。人材育成の主要事業として、女性の防災・復興リーダーを育成するための研修事業を始める方針を示した。
開会式では、12月にパリで開催される国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で議長を務めるフランスのファビウス外相が「近年の災害の70%は気候変動と関連しており、20年前の2倍だ。将来はさらに激甚化が予想される」と指摘。「仙台の成果がパリの成功につながる」と述べた。
バヌアツのロンズデール大統領は公式演説で今回の災害を踏まえ、「救援と再建だけでは足りない。災害から完全に復活できるような持続可能な開発の道筋をつけてほしい」と訴えた。
開会式には、天皇、皇后両陛下がご出席。山谷えり子防災担当相が議長に選出された。18日までの会議期間中、約190カ国・地域の代表が参加する予定。【高橋克哉、狩野智彦】