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<桜>春めき告げる香り…新品種の開発者が視覚障害者に寄贈

 <桜>春めき告げる香り…新品種の開発者が視覚障害者に寄贈

 桜の香りで目の不自由な人にも春の訪れを感じてほしい−−。神奈川県南足柄市の農園経営、古屋富雄さん(62)が自ら開発した桜の品種「春めき」を視覚障害者のために寄贈する活動を始めた。一般的な「ソメイヨシノ」に比べ香りが強い特性を生かした取り組みで、古屋さんは「春の贈り物を届けたい」と話している。【河津啓介】
 
  ◇神奈川の農園経営・古屋さん
 
  「春めき」は古屋さんが2000年に品種登録した早咲きの桜。植樹されている南足柄市の狩川堤防などは、一足早く春を告げる名所となっている。3月中旬から下旬に咲くため「卒業生を送る桜」として評判が広がり、古屋さんは全国の小中学校に寄贈してきた。
 
  数年前、視覚障害がある男性から「春めきを譲ってほしい」と頼まれた。男性はランニングで春めきが植えられている道を走り、香りに感動したと話した。古屋さんは「目が不自由な人も楽しめる可能性に気付かされた」。
 
  今年2月に、初めて神奈川県平塚市の県立平塚盲学校に8本を植樹。毎日新聞社が発行する点字新聞「点字毎日」が取り上げ、全国の視覚障害者から「感動しました。頑張ってください」とエールが届いた。
 
  3月6日には横浜市の視覚障害者支援施設「県ライトセンター」に2本を贈った。植樹式には視覚障害者の人たちが参加し、高さ2メートルほどの若木の根元に土をかけ、枝や幹に触った。横浜市旭区の萩原トシさん(65)は「桜の香りがとても楽しみ。20代で目が見えなくなりましたが、香りをかぐと鮮やかな花の記憶が心によみがえります」と話した。
 
  古屋さんは「目の不自由な方に喜ばれ、手応えを感じている。できるだけ多くの人に楽しんでもらいたい」と話している。
 
  苗木は無償提供し、神奈川県内は同県造園業協会がボランティアで輸送や植樹作業に協力するが、県外は輸送費などの負担が必要。問い合わせは古屋さん(090・7849・9200)。

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