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<淡路島5人刺殺>早朝の凶刃、静かな山里動揺
兵庫県淡路島の洲本市の山間部で9日早朝、5人の男女が刺殺される事件が起きた。田畑が広がる山あいに住宅が点在する静かな地域で凶行は突然起きた。「こんな事件が起きるような場所じゃない」。付近の住民たちは動揺を隠せない。
「お父さんが刺された」。この日朝、死亡したとみられる平野浩之さんの家族が、近くの女性宅に興奮した様子で駆け込んだ。「すぐに来て」との110番通報を受け、県警洲本署員が駆けつけると、浩之さん宅の玄関先に男性が血まみれで倒れていた。室内には女性2人も倒れていた。近くにいた無職、平野達彦容疑者(40)が刺したことを署員に認めたため現行犯逮捕された。衣服には血痕が付いていたが、淡々とした様子だったという。また、すぐ近くの別の民家で80歳代ぐらいの男女が死亡しているのも見つかった。
近所の人によると平野容疑者は中学校を卒業後、自宅に引きこもりがちだったという。
浩之さん宅の周囲に規制線が張られ、玄関先にはブルーシートが敷かれた。数人の捜査員が周辺を調べるなど、現場はものものしい雰囲気に包まれた。
近所の住民によると、浩之さんは母親と妻娘との4人暮らしで、家族は仲が良かったという。浩之さんを知る自営業の男性(72)は「(浩之さんは)頭が良く、町内の世話をしてくれる優しい人だ。何があったか分からないが、心配で仕方がない」と話す。浩之さんは町内会の役員も務めており、昨年11月には田畑をイノシシから守る柵を作った。別の農業の男性は「トラブルとは無縁の人で、事件に巻き込まれたなんて信じられない」と不安そうだった。
現場から約1キロ離れた市立中川原小では授業を中断して児童38人を一時音楽室に集めて待機させた。森田恵子校長(53)は、「下校時に親に付き添ってもらうことにした。子供たちが不安にならないように対応したい」と話した。同小近くの市立中川原保育所の所長(60)は「事件の知らせを聞き、保育所に鍵をかけて子供91人を待機させた。のどかな田舎町で複数の人が刺されるような事件が起きて驚いている」と話していた。