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<自転車シェアリング>72自治体導入も…利用広がらず
自転車をカーシェアリングのように共同利用する「自転車シェアリング」を本格導入している自治体の9割で、1台当たりの利用が1日1回に満たないことが、国土交通省の調査で分かった。1台の平均利用回数は1日0.4回で、1台の自転車が2日に1回も使われていないことになる。導入が進んでいる欧州の都市に比べ、本格的なシェア(共有)が実現していない現状が浮き彫りになった。
自転車シェアリングは、自転車を置く拠点(ポート)を各地に作り、貸し出しや返却ができる仕組み。公共交通機関の補完や温室効果ガス削減などを目的に欧米で先行導入されている。
国交省によると、国内では2010年ごろから「コミュニティサイクル」「シェアサイクル」などの名で各地に広がり始めた。13年には超党派の国会議員連盟が普及策を提言。東京都も20年の五輪に向けて推進している。14年11月現在、全国72市区町村が自治体直営や民間委託の方式で本格的に実施し、ほかに51都市が導入を検討しているという。
しかし、国交省が72市区町村の利用状況を調査した結果、回答した64都市のうち、1台当たりの利用が1日1回を超えていたのは札幌、金沢、川越など8市だけだった。最高は岡山市の3・3回だが、パリ(6回)やニューヨーク(8回)などを大きく下回った。
採算については35自治体が回答したが、14年4〜9月の平均利用料金収入は支出の46.5%にとどまり、自治体の予算で赤字補填(ほてん)をしているケースが多いという。
国交省はポートの場所が駅やバス停から遠く、使い勝手が悪いことなどが背景にあると指摘。担当者は「行政が赤字補填してでも導入すべきかは今後の検討課題。利用度を高めるため、現状を詳しく分析したい」としている。【大迫麻記子】
◇自転車シェアリングをしている自治体
(昨年11月現在、国土交通省調べ)
<北海道>札幌市、江別市<青森県>青森市、弘前市、十和田市、八戸市<秋田県>能代市<山形県>山形市、酒田市<新潟県>新潟市、見附市<宮城県>仙台市、白石市<福島県>檜枝岐村<群馬県>高崎市、桐生市、板倉町<栃木県>宇都宮市<茨城県>水戸市、笠間市、東海村<埼玉県>さいたま市、川越市、伊奈町<千葉県>銚子市、佐倉市、鴨川市<東京都>江戸川区、世田谷区、小金井市<神奈川県>横浜市<長野県>軽井沢町<山梨県>山梨市<富山県>富山市、射水市、氷見市、砺波市<石川県>金沢市<福井県>坂井市、鯖江市<静岡県>三島市、伊豆の国市<滋賀県>彦根市、米原市、長浜市<愛知県>田原市、安城市<岐阜県>岐阜市<三重県>熊野市<奈良県>奈良市、明日香村<京都府>京都市、南丹市、八幡市、与謝野町<兵庫県>篠山市<大阪府>堺市<和歌山県>和歌山市、紀の川市、串本町<岡山県>岡山市<広島県>尾道市<香川県>高松市、観音寺市<高知県>四万十市<愛媛県>今治市<福岡県>北九州市、福津市<大分県>宇佐市、玖珠町<熊本県>水俣市<宮崎県>宮崎市