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ビジネスでの人間関係と処世術は「中国古典の成功法則」に学べ
そこにかかわっているのは、すべて「人間」です。時代は異なれど、その心理や行動の基本は、現代に生きる我々と変わりありません。つまり物事の進め方や、人の動かし方、難しい決断の仕方など、日々ビジネスでしていることの本質というのは数年前から変わらないのです。(「はじめに」より)
『超一流の常識 ビジネスに効く教養としての「中国古典」』(安恒理著、朝日新聞出版)の著者はそういいますが、しかし一方で、「中国古典や歴史的戦術の知識を持っているだけでは、現代での実践に勝てない」とも主張しています。なぜなら中国古典の多くは、抽象論に終始したり戦場や政争の場が舞台だったりするなど、現代のビジネスの現場とは少し違うから。
そこで本書では、中国古典の「成功法則」をひもときながら、実際のビジネス界での成功者たちのケースに当てはめ、「超実践的に分類」しているというわけです。具体的には、
1.現代のビジネスパーソンが必ず直面する「悩み」2.中国古典が出した「答え」3.現代の超一流の「成功例」
という流れで構成されています。第3章「『人間関係』『社内政治』『処世術』編 社内の壁、逆境にどう対処するか」から、いくつかを見てみたいと思います。
誰についていくべきか?
「士は己を知る者のために死す」(「史記」刺客殿)
超解自分の能力を認めてくれる人のためなら、死んでもいいと思うものだ。会社でも、自分を買ってくれる人には尽くすべき。
『史記』に出てくるこの言葉は、春秋戦国時代の晋の豫譲(よじょう)が残したもの。仕えていた晋の国の重臣が討たれたため、仇を討とうとするも捕えられてしまった人物だそうです。捕えられた先で「お前は何人もの主君に仕えたのに、なぜ智伯の仇討ちだけしようとするのか」と尋問された際、豫譲は「智伯だけが私を国士(=国の重要人物として厚遇してくれた。だから私も国士として報いるのだ)」と答えたのだとか。
才能豊かだったにもかかわらず、最初の仕官先では厚遇されず、間もなく辞職。次の仕官先でも冷遇されたものの、三度目に士官した智伯だけは彼の才能を認め、国士として手厚く迎えたということ。恩義に報いようとする心持ちは、日本人だけではなく古代の中国人も同じだったというわけです。
ここで重要なのは、広く細い関係より、狭く太い関係が人を育てるということ。
1.自分を買ってくれる人への恩義を忘れない2.双方向の関係性を維持する3.相手が困っているときほど手を差し伸べる(91ページより)
こうして信頼で結ばれた関係は好循環を生み、自己成長の糧となるわけです。…