＜伊藤忠＞課長級以上 業績ポイント付加…退職時に株に換算

　

　伊藤忠商事は１１日、課長級以上の幹部社員に対し、役職や業績に応じて退職時に株式を給付する制度を７月から導入すると発表した。株価が上がれば売却時のもうけも増える。社員が常に経営全般を気にかけるよう「経営者意識」を持たせ、業績向上につなげる狙いだ。同社は「国内で類を見ない制度」としている。
　
　　株式はポイント制で換算し、課長クラス昇任時に１００ポイント、部長クラス昇任時に４００ポイント、部門長昇任時に５００ポイントを付与。社員で最高の部門長まで昇格すれば計１０００ポイントになる。これに、幹部在籍中の連結最終（当期）利益の状況に応じて０〜１０倍し、１ポイント当たり１株を交付する。
　
　　どの程度の業績なら何倍にするかなどの詳細は今後詰めるが、好業績が続いていれば最大１万ポイント、逆ならゼロになる。同社株の１１日の終値は１３３１円で、仮に１万ポイントを得れば、退職時に１３００万円以上の株式を獲得できる。総合職３３００人のうち課長級以上の約１１００人が対象だ。一定期間内にあらかじめ決められた価格で自社の株式を購入できる「ストックオプション」よりも好条件のように見えるが、業績に応じた倍率を厳しく算定するなどする。
　
　　同社は、岡藤正広社長が「朝型勤務」を提唱し、午後８時以降の残業を原則禁止して、早朝勤務に割増賃金を払うなど、働き方や評価手法の見直しを進めている。今回も、「将来の経営者候補である中堅社員がやる気のでる制度を」という岡藤社長の指示で導入する。【種市房子】