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[FT]中国主導のインフラ銀、「配慮」は悪いことか
50通りもの微妙な違いがある外交上の言葉遣いでは、「accommodation(配慮、取り計らい)」という単語はAで始まるもう1つの単語「appeasement(融和)」より痛烈さが若干弱いだけだ。先週、米国のある政府高官は、中国に対する「絶え間ない配慮」について英国を批判した。
習近平国家主席(右から4番目)が参加したAIIBの設立セレモニー。英国は同銀行の設立メンバーになると表明した欧米で初めての国となる(2014年10月24日、北京)=ロイター
英国政府は、いずれ米国主導の世界銀行に挑むのではないかと懸念される中国主導のインフラ銀行「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」のメンバーになることに同意した。米政府高官の発言は、ほかにも(英国が中国に対して)譲歩があったことを言外に意味している。ある時はダライ・ラマと会わないという取引があった。またある時は香港の民主主義について控えめな表現にとどめた。
「中国へ絶え間なく配慮する方向へ行くトレンドを我々は警戒している。これは台頭する大国と関与する最善の方法ではない」と同高官は述べた。
ここで疑問が浮上する。台頭する大国と関与する最善の方法は何かという問題だ。もし「絶え間ない配慮」が答えではないとしたら、何が答えなのか? 米国は間違いなく、配慮に代わるものが「絶え間ない封じ込め」であることは否定するだろう。むしろ、中国をおだてて、既存の国際秩序に導き入れなければならないと言うだろう。その規則と規範は70年間にわたって地域の役に立ってきたのだ。中国の観点からすると、そうした規則と規範は米国のイメージに沿って作られたことが問題なのだ。
このことは世界銀行のような多国間機関に当てはまる。中国は世界の経済生産の16%を持つにもかかわらず、世界銀行における投票権のシェアは3.8%しかない。海洋問題をカバーする規範にも当てはまる。ここでも中国の観点からすると、既存の規範は、米国が中国の利益にとって極めて重要なアジアの海を取り締まったり、中国の歴史的な主張に違反する戦後の領有権の線引きを守ったりすることを許すものだ。
もし中国政府が、中国が(欧米に)ひざまずいている時代に、欧米がつくった国際規範に従わなければならないのだとしたら、そもそも封じ込めなど必要か? 中国は正直、そう問うかもしれない。
■中国とどう付き合うかの問題
AIIBに関していえば、英国が結束を乱した今、他国が追随する可能性が高い。実際、この銀行に参加する確かな理由がある。もし米国政府の懸念が本当に、新銀行が環境や社会に関する規範を無視するということなのだとすれば、傍観しているより内部から影響を及ぼそうとする方がいい。
AIIBを巡る分裂は、台頭する中国と一般にどう付き合うべきかというずっと大きな問題の一部だ。オーストラリアの学者で元防衛当局者のヒュー・ホワイト氏は説得力をもって、中国は「配慮される」必要があると主張する。そう、米政府高官が侮辱として振りかざした、まさにその言葉を使うのだ。