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【ブラジル】曽野綾子氏の「住み分け」論に大使が反論…「ブラジルに住む日系人にも、日本に居住するブラジル人にも事実の歪曲」
曽野綾子氏が2月11日付け産経新聞に掲載した「労働力不足と移民」をテーマにしたコラムを発表し、移民導入を肯定する論調の中で、
南ア首都にある白人用マンションが人種差別廃止以来、黒人が済み始めどんどん一族を呼び寄せて一区画に20、30人住みだし、
使いすぎて水が出なくなり白人が逃げだした事例を挙げて、《人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住区だけは
別にした方がいい》と締め、《適度な距離を保って受け入れを》と論じた。
これに対し、「アパルトヘイト(人種隔離)擁護する発言か」と批判を浴びた。それを受けてジャパンタイムス紙が同月20日付けで、
曽根氏の真意を取材し、《自分の意図は、異なる人種の人々に「本人の選択による住み分け」を勧めることだった》と説明した。
具体例として《ペルーの首都リマなど南米の都市では、日系人専用の移住地(dedicated colonies for Japanese)がある。そこでは、
日本語や日本文化が損なわれずに残っている。日本にもブラジル移民のコミュニティがあり、これらの共同体はほぼ自然に湧いて出た
ものだが、いずれも隔離はされていない。人々は、そこに住みたいと思うから住んでいるのであって、出るも入るも本人の自由である。
私は、本人の選択による住み分けは、何ら悪いことだとは思わない》という意味の自説を話した部分がある。
それに対しアンドレー・コヘイア・ド・ラーゴ在京ブラジル大使が右のような英字反論文をジャパンタイムス同月25日付けで発表した。
今回掲載したのは、その日本語訳。
■ブラジル人、日本人と人種融合の成果=2月25日付ジャパン・タイムス紙に掲載(訳文)
在日外国人コミュニティーへの支援に日常的に取り組んでいる我々にとって、去る2月11日に曽野綾子氏が産経新聞に掲載したコラム
に関する論争は傍観できない問題である。
モハウ・ペコ駐日南アフリカ共和国大使が同紙に宛てた書簡は、一見して人畜無害な文言である「分離」の名の下に、甚だしい人権侵害
が過去に於いて正当化され、書き表されていた事実に警鐘を鳴らす。幸いなことに、二十一世紀の世の中ではその様な行為の余地はない。
2月20日付のジャパン・タイムス紙は、曽野氏が問題となった最初の記事の趣旨を説明する試みを掲載する。その中で同氏は南アメリカ
に於ける日系移住者専用の植民地について言及している。同氏はまた、日本国内に「ブラジル人移住者用のコミュニティーが存在」し、
彼等は自ら進んでそこに居住していると述べている。これはブラジルに住む日系人にとっても、日本に居住するブラジル人にとっても
事実の歪曲だと言える。
一世紀以上も前に日本人がブラジルに移住し始めてから、彼等はより恵まれた環境を求めて特定の都市または地域に向かう傾向を
見せた。
ブラジルに渡った日本人移住者は全国に散り、ブラジルの文化を身に付け、現地の人と結婚して子孫をなした。要するに彼等は祖先の
文化を放棄することなくブラジル社会に溶け込んだのである。日本を含む海外各国から移り住んで来た人々は、外国人が各々の祖国の
文化遺産を保ちつつも完全なブラジル人となり得る、真の意味での多文化国家としてのブラジルを築き上げる事業に貢献したのである。
http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/150307-61colonia.html
http://www.nikkeyshimbun.jp/wp-content/uploads/2015/03/27f1ffa979d81760531bce7a252f8df9.jpg
(続く)