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乾燥によるキメの大きな乱れは皮膚の角層細胞の縮みによる
資生堂は、若い女性の肌で肌状態の良し悪しが大きく表れる「キメ」と、キメを構成している角層細胞との関係に着目した研究から、乾燥環境の中では短時間のうちにうるおいが急激に失われ「角層細胞自体が縮む(角層収縮)」こと、ならびに角層収縮がキメの大きな乱れや肌あれ状態の原因であることを発見したと発表した。
肌のキメは、頭の先から足の甲まで、ほとんどの肌表面に刻み込まれた、細かな紋様のように見える凹凸で、健康で美しい肌では、形のそろった凸部の皮丘と、凹部の皮溝で構成されており、細かく整ったキメは美しい肌の証とも言われ、加齢や肌あれによってキメが乱れると、見た目の印象を低下させるとされている。
キメの外観。キメは凸部の「皮丘」と、 皮丘を取り囲む溝の「皮溝」から構成される
同社ではこれまでの研究から、表面の形状や光との関係など肌の外観的研究に加え、肌が伸縮するときに「皮丘は形状を変えることなく、折りたたまれた皮溝がアコーディオンの蛇腹ように開閉する」というキメ特有の仕組みを報告している。
また、20~30代の一見美しく見える肌や、手入れの行き届いた肌であっても、冬場やエアコンの効いたオフィスなど肌に悪い乾燥環境下では、肌状態が悪化するということが一般的に言われており、その際、キメの状態は短時間のうちに悪化することが経験的に知られていたものの、その詳細な形状や角層細胞の状態がどうなっているのか、といったことは明らかになっていなかった。そこで今回、研究チームは、この関係を解明し、キメが整った美しい肌を育むソリューションの開発に向けた研究を行ったという。
研究の結果、急激な乾燥環境下では「角層細胞自体が縮むこと(角層収縮)」を発見。
角層細胞の収縮
これにより、普段は変形しない皮丘の形状が小さくなっていたほか、皮溝が大きく開く、皮溝がなくなる、またキメの折りたたみ構造がなくなることが判明した。
角層収縮による角層表面の収縮
このことは、肌の伸縮をスムーズにしているキメの働きが、機能しなくなるということを示すものだと研究チームは説明するほか、こうした状態になると、肌が突っ張るだけでなく、角層が部分的に裂ける(激しい肌あれ状態)など、美しい肌の象徴である整ったキメの規則性が失われることも確認したという。
角層収縮したキメの様子
さらに研究を進めたところ、この角層細胞の収縮度は若い人ほど大きいという結果も得られたとのことで、これは若い人の肌は角層細胞の働きが活発な一方、さまざまな外的なストレスによる肌ダメージも大きく現れやすいことが示されたものであり、適切なスキンケアが必要であることが示されたとする。
年齢別の角層収縮
こうした結論から、さらに美しい肌のもとである細かく整ったキメを維持していくことを目的に、急激な外的要因の変化の中でも「角層細胞の収縮」を抑制する成分の探索を行ったところ、保湿機能や肌あれ改善機能などがある候補成分の中から、トレハロースを含む複合成分「PhytoResist Complex(ファイトレジスト コンプレックス)」が特に有効であることを確認したという。
複合成分「PhytoResist Complex(ファイトレジスト コンプレックス)」の効果
なお同社では、今回の研究成果を応用し、乾燥などの外的要因でキメの状態が急変する若い女性に向けて、外的な環境変化によって繰り返し起こる肌トラブルを解決し、ベストコンディションな肌を実現するためのスキンケア商品の開発を進めていく予定としている。