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今村勇輔の知りたい! みんなの宇宙開発 (6) 新しいJAXAへ、新日鐵出身の奥村氏が新理事長に就任
JAXAは4月1日、任期を満了して理事長を退任した立川敬二氏に代わって奥村直樹氏を新理事長に迎え、記者会見を行った。奥村氏は島根県生まれ。新日本製鐵(新日鐵)の元副社長で、内閣府の総合科学技術会議の議員を務めた経験もある。
抱負を述べるJAXA新理事長の奥村直樹氏(左)。前理事長の立川敬二氏(右)は任期中に打ち上げた22機のロケットがすべて打ち上げ成功という記録を立てた
奥村氏は挨拶の中で、注力したいという3点の項目を挙げた。
政府が定める宇宙基本計画にのっとり、政府全体を技術で支える中核的実施機関としての役割を果たす研究開発によって国際的に高いレベルの成果を出しつつ、中長期的な国際競争力の維持・向上を実現して国民の期待に応える新しいアイデアやコンセプトから価値の高いプロジェクトを生み出し、また将来の宇宙開発を見据えた布石となる提案を行う
挨拶の全文はJAXAサイト内の「理事長挨拶・定例会見」で読むことができる。
質疑応答では、国際宇宙ステーションや有人宇宙活動に関して経費削減の要請が強いことについて質問があった。奥村氏は「国際宇宙ステーションは費用対効果が問われている」と現状を分析し、これまでの成果を事実に基づいて検証した上で今後の方策を決めていきたいとした。
また有人宇宙活動についても人間がほかの星へ行くことにどういう意味があるのか、日本国民にとってだけでなく他国の動きも含めて相対的に考えていく必要があると述べた。「今の段階では推進する、縮小するといった結論は出さず、検討を重ねていきたい」と慎重な意見であった。
また産業の振興や広報の強化に関しては、宇宙と直接関係がないように見える企業へも今までとは異なる切り口での広報活動などでアプローチし、「宇宙の近さ」をアピールしていきたいと抱負を述べた。
座右の銘はと聞かれた奥村理事長は「座右の銘は持っていないが」と前置きをして、進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンのものとされる言葉を挙げた。「生き残る種は強い種でもなく賢い種でもない、変化に対応できる種だ」というもの。
奥村理事長は新日鐵時代に、円高への対応など構造改革で苦労してきたという。JAXAもまた時代に合わせて大胆に変化していかなければならないという決意を感じさせる会見となった。
参考:歴代のJAXA理事長2003年10月~2004年11月…山之内秀一郎氏(元JR東日本会長、元宇宙開発事業団理事長)2004年11月~2013年3月…立川敬二氏(元NTTドコモ社長)2013年4月~2018年3月(予定)…奥村直樹氏(元新日本製鉄 副社長、前総合科学技術会議議員)