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富士通、次世代SPARC64 Xプロセッサ「Athena」を米国OOW 2012にて展示

富士通、次世代SPARC64 Xプロセッサ「Athena」を米国OOW 2012にて展示 

 開発コードネーム「Athena(アテナ)」と呼ばれる次世代プロセッサ「SPARC64 X」について米Oracleが米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンションセンターで開催した「Oracle Open World(OOW)San Francisco 2012」の基調講演において、富士通 システムプロダクトビジネスグループの豊木則行執行役員常務が言及した。さらに、展示会場の富士通ブースではプロトタイプを展示して、来場者の関心を集めていた。

 オラクルオープンワールドの基調講演でAthenaを説明する米Oracleアンディ・メンデルソンシニアバイスプレジデント(右)と富士通 システムプロダクトビジネスグループの豊木則行執行役員常務(右)

 豊木執行役員常務は、「かつてのSun Microsystemsとの協業は、ハードウェアとOSの範囲であり、データベースはその外にあった。すべてをトータルでチューニングできるIBMに対しては歯がゆい思いもあった。しかし、OracleがSunを買収したことで、新たな枠組みとなり、すべてを持つことになる。2007年にSunと共同で投入した製品はすでに5年が経過し、競争力を失ってきている。また、SolarisがUNIXでのシェアを落としている。こうした背景から、完全に完成したところで手堅く発表するよりも、我々のお客様に対して、SPARC/Solarisの将来についてなにも不安がないことや、着々と開発が進んでいることを示したかった」として、今回のOracle Open Worldで、Athenaについて公式に言及した理由を語り、2013年の早い時期にAthenaを投入するとした。

 Athenaは、28nmプロセスで生産される次世代のSPARC64 プロセッサ。動作周波数は3.0GHzで、1CPUあたり16個のコアを搭載。1コアあたり2つのスレッドを持つ。64個のソケットの搭載により、システムあたり最大2048個のスレッドまで拡張できる。また、ソケットあたり512GBのメモリ4個を、1つのCPUとして構成。CPUあたり2TBのメモリを最大16個まで拡張することで、最大32TBまでのメモリを活用できるのが特長だ。

 最大の特長は、Software on Chip(SWoC)を実現している点だといえる。「ハードウェア上にソフトウェアプロセスを構築するこの実装技術によって、劇的にパフォーマンスを向上させることができる。ハードウェア、OS、データベースおよびコンパイラのすべての向上させることができる」とするほか、「CPUにメモリコントローラおよびI/Oを搭載し、物理的に距離を短縮でき、システム遅延を減少。さらに信頼性の向上にも寄与している」とした。

 Athenaでは、富士通が開発し、世界最高速を誇ったスーパーコンピュータ「京」で活用した、1つの命令で複数の処理を行うSIMD(Single Instruction Stream Miltipul Stream)技術を採用。さらに、LLC(Liquid Loop Cooling)技術により、効率的な水冷を実現。「京での経験がなければ、Athenaは完成しなかった。Athenaには、かなりの投資を行っている」(富士通の佐相秀幸代表取締役副社長)という。また、富士通セミコンダーが開発した100Gbpsの伝送チップなどの技術も高速化の部分に活用しているという。

 米Oracleのアンディ・メンデルソン シニアバイスプレジデントは、「データベースはパフォーマンスが重視されてするが、SWoCの仕組みを採用することで、I/O性能のボトルネックを解決することができる」としたほか、米Oracleのラリー・エリソンCEOは、「Athenaによって、ソフトウェアをシリコン上に搭載することができ、いまのプロセッサの性能を大きく上回る環境を実現することなる」とした。

 また、富士通の豊木執行役員常務は、「処理能力を向上させるには、CPUの性能を高めるほか、サーバの数を増やさなくてはならなかったが、それとはまったく異なるアプローチを可能にできる」などと述べた。

 Athenaを搭載したサーバは、富士通およびOracleから販売され、日本市場向けには富士通ブランドでの展開が中心となる見込みである。また、北米市場などでは、Oracleブランドでの販売が拡大することになりそうだ。

 Athena搭載サーバのプロトタイプも展示されていた

 「海外展開においては、お互いに具体的にどんな協力が行えるかという点について、Oracle Open World会期中にラリー・エリソンCEOと話を行った」(佐相副社長)としている。

 Athenaは、幅広いデータベースに対応したものとなっており、「従来のSoralisで動作していたデータベースはすべてサポートしていく」(富士通の豊木執行役員常務)としているが、「Athenaに新たに加えた強化部分については、それに対応したデータベースを導入してもらうことで、より高い処理性能を実現できる」(富士通・野田敬人執行役員)という。

 富士通の佐相秀幸代表取締役副社長

 富士通 システムプロダクトビジネスグループの豊木則行執行役員常務

 富士通の野田敬人執行役員

 Oracle側では、Oracle DatabaseをAthenaに対応させる計画であり、米Oracleのラリー・エリソンCEOは、「来年のいまごろまでには、Athenaで、Oracle Databaseを走らせることを約束する」と語っている。

 また富士通の佐相副社長は、「Athenaは、データベースの高速化に力を入れているので、とくに金融系を中心としたOLTPの領域などでの採用を目指す。それだけでなく、ビッグデータに代表される情報系の領域に対しても、Athenaを武器にして販路を広げていきたい」としている。

 来場者用が閲覧できるように用意していたAthenaのチップ

 展示会場の富士通ブースに置かれていたAthenaのウェハ

 Athena(SPARC64 X)の概要

 Athenaに搭載された5つのキーテクノロジー

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