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富士通研、小型電子機器に適用可能な薄型冷却デバイスを開発
富士通研究所は、小型・薄型の電子機器に適用可能な薄型冷却デバイスを開発した。
今回、金属薄板を積層し接合する技術を用いて、厚さ1mm以下の薄型のループヒートパイプを開発し、従来の薄型のヒートパイプに比べて約5倍の熱量を輸送することを可能にした。これにより、スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器において、CPUなどの高発熱部品が低温で動作できると同時に、機器内での局所的な熱の集中を防止することが期待される。
ループヒートパイプによる熱の移動は、蒸発器の内部にある多孔体で発生する毛細管力を流体の駆動源としている。今回の開発では、銅薄板を重ねて微細な孔を持つ構造を導入。複数枚の銅薄板に予め位置が少しずつずれるように設計した孔パターンをエッチングで形成し、それらを重ねることで流体を循環させるための毛細管力を発生させた。
また、今回の開発では、厚さ0.1mmの銅薄板を用い、表裏面2枚と内層4枚の計6枚を一括形成することにより、これまで実用的には厚さ10mm程度が必要であったループヒートパイプの蒸発器を厚さ0.6mmまで薄型化し、モバイル機器に収納可能なサイズの熱輸送デバイスを実現した。
今回開発した技術を用いることで、従来の高い熱伝導率のシート材料や薄型のヒートパイプに比べて約5倍の熱量を輸送することが可能となった。
富士通研究所は、薄型のループヒートパイプを用いたモバイル機器の設計技術と低コスト化技術の開発を進め、2017年度中の実用化を目指す。また、同技術は、金属薄板のエッチングを用いたパターン形成によって、製品ごとの配管レイアウトや熱輸送量に対応することができるため、機器により自由に設計することが可能となる。今後、モバイル機器だけでなく、通信インフラ装置、医療用機器、ウェアラブル機器などへの展開も検討していく方針。
なお、同技術の詳細は、3月15日から米国サンノゼで開催される電子機器のサーマルマネージメントに関する国際会議「SEMI-THERM 31(Semiconductor Thermal Measurement, Modeling and Management Symposium 31)」にて発表する。
ループヒートパイプの構成
薄型ループヒートパイプ試作品の外観
薄型ループヒートパイプによる熱輸送の様子(赤外線サーモグラフィ画像)