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JAXA、北極海の海氷が衛星観測史上最小の421万平方kmを記録したことを発表

JAXA、北極海の海氷が衛星観測史上最小の421万平方kmを記録したことを発表 

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月25日、7月3日から観測を開始した第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)のマイクロ波放射計「AMSR2(アムサー・ツー)」が観測した海氷データを解析した結果、2012年の北極海の海氷は、観測史上最も小さい面積の421万平方km(8月24日時点)を記録したことを確認したと発表した(画像1)。

 今回の観測結果は、米国航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「Aqua」に搭載されたJAXA製の改良型高性能マイクロ波放射計「AMSR-E(アムサー・イー)」が2007年に観測した衛星観測史上最小(当時)となる425万平方kmを下回った形だ(画像2)。

 画像1。「しずく」のAMSR2がとらえた北極海の2012年8月24日現在の海氷密度分布(検証中)。(c) JAXA

 画像2。これまでの衛星観測史上最小記録は、2007年にAquaのAMSR-Eがとらえた425万平方kmだった。(c) JAXA

 2012年は春の段階で、北極海のほぼ半分の海域が薄い一年氷(前年の夏以降に生成した氷)で広く覆われていたことが衛星画像の解析からわかっており、近年の北極域の温度上昇などに伴い、海氷が薄くなっていると推定されていた(画像3)。

 なお、北極海氷は例年、9月中旬から下旬にかけて海氷面積が最小になる。よって、融解最小時期に向けて北極海氷の融解はまだしばらく続く見込みだ。そのため、観測史上初めてとなる400万平方kmを下回る可能性も出てきたという(画像4)。

 画像4は、2003年以降の5~8月の1日あたりの海氷面積変化量を示している。プラス側が海氷域の拡大を、マイナス側が縮小を表している。2012年は8月上旬に急激に海氷面積が縮小したが、その時期に北極海上空に台風並みの低気圧が発達していた様子をNASAの光学センサ「MODIS」がとらえていた(画像5)。

 画像3。北半球の海氷面積の季節変動(2012年8月24日現在)。右は、画像3の矩形部分の拡大図。(c) JAXA

 画像4。北極海氷面積の一日あたりの変化量。(c) JAXA

 北極海上空に発達した低気圧の衛星画像(2012年8月7日)。画像5(左)は気圧場を、画像6は風向・風速も示されている(気圧場および風向・風速は気象庁提供のデータが使用されている)。(c) JAXA

 低気圧の大きさはほぼ日本列島をすっぽり覆ってしまう程。巨大な低気圧に覆われていた北極海上で、海氷が急速に縮小していく様子は、画像7のAMSR2の輝度温度合成画像の動画でも見ることが可能だ。8月中旬以降も海氷は縮小し続け、そして8月24日の記録更新に至ったのである。

 画像7。AMSR2輝度温度合成の動画(2012年7月3日~8月24日)

 北極海の海氷密接度の分布画像および海氷面積値情報は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極海海氷モニターのWebサイト上にて更新が行われている。なおJAXAでは、今後も「しずく」による北極海氷の監視を続けていき、プレスリリースやWebサイトなどで最新の状況を報告する予定としている。

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