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LeCroy、12ビット分解能のマルチタッチオシロ「HDOシリーズ」を発表

LeCroy、12ビット分解能のマルチタッチオシロ「HDOシリーズ」を発表 

 Teledyne LeCroyの日本法人であるテレダイン・レクロイ・ジャパンは10月23日、高精度12ビット型オシロスコープ「HDO4000/6000シリーズ」の国内販売を開始することを発表した。

 オシロスコープはその長い歴史において、アナログからデジタルへと進んできた。デジタル処理の場合、入力された信号をサンプルし、波形を補完して表示するが、その波形精度は分解能に依存する。従来、オシロスコープはサンプリング速度やメモリ長の高性能化に主眼が置かれ、分解能はA/Dコンバータ(ADC)に依存し、それは8ビットのままであった。HDOシリーズではこの分解能を12ビットに向上させることで、8ビット比で16倍の階調表現(8ビットで256階調、12ビットで4096階調)を実現することができるようになる。

 同社はこの12ビット化、ならびにS/N比の高いフロントエンド増幅器、そして低雑音のシステムアーキテクチャの3つの要素を組み合わせ、「HD4096高精細技術(High Definition Technoogy」と呼んでいる。これにより、従来以上にクリーンな波形を見ることができるようになるほか、それにともない信号の細部まで解析可能になり、そのデータを用いた精密な波形測定が可能になると同社では説明する。

 分解能を一般的な8ビットから12ビットへと向上させることで、より高精度な測定が可能になる

 HDO4000シリーズは、すべての入力チャンネルでサンプリング速度2.5GSps、標準で12.5Mポイントの波形メモリ(インタリーブ時は25Mポイント)の構成で2chもしくは4ch、帯域200MHz/350MHz/500MHz/1GHzの4モデルが用意されている。一方のHDO6000シリーズは、すべてが4chモデルで、4ch同時に2.5GSpsのサンプリング速度、標準で50Mポイントの波形メモリ(オプション搭載時は最高250Mポイント)、帯域は350MHz/500MHz/1GHzの3モデルが用意されている。

 すべてのモデルに12.1型タッチ・スクリーン式ディスプレイを採用しており、2013年1月に提供されるファームウェアを適用することで、マルチタッチにも対応する。価格は99万8000円からとなっている。

 HDOシリーズの概要

 テレダイン・レクロイ・ジャパン代表取締役社長の原直氏

 2シリーズについて同社では日本市場向けに3種類の販売戦略を立てている。1つ目は既存ユーザー層の拡大を目指す方針。同社のオシロスコープは大学や官公庁の研究機関、企業の研究機関などで用いられており、そういった既存分野での採用を伸ばしていく方針だ。2つ目は、販売代理店13社を活用した新たなユーザーの開拓。そして3つ目が、同社がこれまで見逃してきたような新規アプリケーション分野の開拓。例えば、センサ出力の評価に向けたアプリケーション開発や、ノイズに埋もれてしまい、8ビット分解能では計測できないような波形を計測したいというアプリケーション。省エネニーズの盛り上がりに対応するための電源装置の損失評価の高精細化などが想定されるとしており、これらの分野向けに販売初年度で350台の販売を目指すとしている。

 なお、同社では同発表に合わせてTeledyneによるLeCroyの買収にも触れ、「今回の買収は技術的な意味合いが強い。買収によりLeCroyはTeledyneの持つハイスピードInP技術を入手することができた。将来のオシロスコープの高速化には重要な要素となる。また、LeCroy自身としてもそうした要素技術を活用する能力を持っているため、結果として意義のある買収であったと考えている」(テレダイン・レクロイ・ジャパン代表取締役社長の原直氏)と説明しており、日本において何かが変更されるということは基本的にはなく、販売体制やサービス体制も従来から変更するつもりはないとしている。

 右が新オシロスコープHDO4000シリーズ。左が従来の8ビット分解能機Wave Surferシリーズ。同一のパルスジェネレータから出力された波形を表示されたもの

 従来の8ビット分解能機Wave Surferシリーズの波形

 HDO4000シリーズ(12ビット分解能)の波形。細かい値ではあるが、8ビット分解能のオシロスコープに対して、高い精度で測定できていることが分かる

  HDOシリーズの外観

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