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SIM-Drive、EV先行開発車事業第1号をスタート
SIM-Driveは、同社の保有するインホイールモーターなどの技術を転用した電気自動車(EV)開発の先行開発車事業第1号を開始したことを発表した。
SIM-Driveの代表取締役社長で慶応義塾大学の環境情報学部教授でもある清水浩氏
同社については津田建二氏の連載でも取り上げているが、代表取締役社長で慶応義塾大学の環境情報学部教授でもある清水浩氏が長年にわたり開発を続けてきたインホイールモーターを活用したEV開発技術を転用し、さまざまなEV開発に向けたプラットフォームの提供を行うベンチャー。
今回のEV先行開発事業には、同社の趣旨に賛同する国内外の34社が参加。参加企業各社は1社あたり2,000万円を負担し、開発のすべてに参加する資格を得るほか、先行開発車の仕様書などのデータおよび試作車両からの技術移転が可能となる資格を得る。
先行開発のスケジュールは、2010年1月19日からの5週間でスタートアッププログラムを実施。5週間の内、前2週間で参加各社のEVに対する理解の共通化を図り、後3週間にて試作する車体の概念、車格、仕様に関する話し合いなどを行い、参加機関の合意に基づきこれらの決定を行う予定。その後、実作業として、参加各社などからの要望や提供される部品などを取り入れ設計、デザイン、試作を行い、夏頃をめどに車体を完成させる計画で、最終的には2011年3月に完成車のナンバー申請を行う計画としている。
SIM-Driveの基本ビジネスモデル(先行車開発後に量産車の開発支援を実施し、それを量産したいメーカーに渡し、生産時にロイヤリティを受け取るという仕組み)
この第1号の先行開発に参加する34社/機関の内訳は、いすゞ自動車や三菱自動車工業といった既存の自動車メーカーや部品メーカーのほか、IHIやオリンパスといった重工業、精密機器メーカー、鳥取県や岡山県などの行政機関なども名を連ねており、海外企業も2社含まれている。34社の内、28社は公表されているが、残りの6社は非公開となっている。非公開企業6社はバッテリメーカーなどが含まれており、「現在、社名を公表するのは得策ではないと判断したため」(清水氏)としている。
先行開発車事業 第1号に参画する34社/機関の内、公表可能な28社/機関
また、開発されるEVのデザインには3人のデザイナーが起用される。ディレクターにはイタリア人以外で初めてフェラーリをデザインしたことで知られる奥山清行氏が就任。チーフデザイナーには清水氏が手がけた最高時速380kmを実現したEV「Eliica」のデザインも手がけた江本聞夫氏、そしてゼネラルマネージャーにはFordやBMW、日産自動車などでのデザイン実績を持つ畑山一郎氏が就任。「現状考えられるもっともベストなデザイン体制。3人が何百、何千というデザインを描き、新たなEVを作り上げていく」(清水氏)と技術のみならず、見た目も重視したクルマ作りを掲げる。
3人のデザイナーとそれぞれが描いたイメージスケッチ(それぞれ上が畑山氏が描いたセダンタイプ、左が江本氏が描いたコンパクトカー、奥山氏が描いたスポーツカー)
同先行開発車はインホイールモーター方式として磁石のついた回転子がコイルの巻かれた固定子の外側に配置されるアウトローター式ダイレクトドライブ型を採用。こえにより、従来のEVが採用している自動車のエンジン位置にモーターを設置する方式(オンボード方式)と比べて、最大30%の航続距離の伸長が期待されることとなる。
インホイール方式はインナーローター構造のギヤリダクション方式とアウターローター構造のダイレクトドライブ方式に分けられる。いずれのインホイール方式もエンジンの場所に置かれるオンボード型に比べ、エンジンルールという概念を無くせるため設計の自由度を飛躍的に向上させることが可能
目標は「既存EVと同程度の重量のバッテリと同じものを活用し300kmの航続距離の実現」(同)。これは街中での走行距離を足し合わせた結果ではなく、高速道路などで時速100km程度で走行した際の航続距離(エアコン非稼働時)で、本体とバッテリは別売りと考えると、本体について「量産(年産10万台)を意識し、一般に人々が買っても良いかなと思う値段。例えば150万円くらいを目安にしたい」(同)としており、量産展開も意識した技術開発を進める計画。
SIM-Drive取締役会長でベネッセホールディングスの取締役会長も務める福武總一郎氏
加えて同社取締役会長で、ベネッセホールディングスの取締役会長でもある福武總一郎氏は「バッテリと本体を分けたことで安くできると考えている」としたほか、「バッテリについては形状のスタンダード化を考えており、最低でも幅と高さは併せられるようにしたい」と意気込みを語る。
なお、同社では1年に1つの先行開発を行っていく計画であったが、「第1号の締め切り直前に非常に多くの企業からお声がけをいただいたが、諸々の問題で第1号への参画には間に合わなかった。こうした多くの方々の期待に応えるために、第2号の開発開始時期を前倒しし、2010年夏頃をめどに開始することにした」(清水氏)と開発の加速を決定、3月頃には参加機関の募集アナウンスができるはずとしている。
第2号には、基本的に第1号に参加した各機関は不参加という形となる予定だが、その仕様や技術などについてはオープンソースとして第1号の各機関にも提供されるという。
SIM-Drive首脳陣と先行車開発事業 第1号に参画する各企業による合同写真(主な人物を紹介すると、パネルを右側で持つのがナノオプト・エナジー代表取締役社長でSIM-Drive取締役の藤原洋氏、同左がSIM-Drive技術顧問の高野正氏、パネル中央の清水氏を挟んだ左が三菱自動車工業の取締役副社長である前田眞人氏、その左がガリバーインターナショナル代表取締役会長でSIM-Drive取締役の羽鳥兼市氏。清水氏を挟んで右が福武氏、その左がいすゞ自動車会長の井田義則氏、その右が帝国ピストンリングの代表取締役会長兼社長の平出功氏)