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ジャーナリスト「胸が張り裂けそうになった」シリア難民キャンプで4歳の少女がとった絶望の行動とは?

ジャーナリスト「胸が張り裂けそうになった」シリア難民キャンプで4歳の少女がとった絶望の行動とは?

 

 すでにインターネットでご存じの方も多いと思う。このハートブレイクな画像が初めて人の目に触れたのは、昨年の12月だ。トルコの新聞社「Turkiye」に所属するカメラマン、オスマン・サジリー氏が撮影したもので、最初はトルコ国内だけで話題になったそうだが、「Twitter」などのSNSのおかげで英語圏にも拡散し、またたく間に世界中を駆け巡るに至った。

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■哀しい瞳で"降伏"する少女

「小さな女の子がいたので望遠レンズで撮影しようと思ったんです。でもなぜか、その子はくちびるをギュッと結んで、手をゆっくりと宙に突き出したんですよ」と、サジリー氏は振り返る。トルコとの国境近くにあるシリアのアトメン難民キャンプでのことだ。サジリー氏いわく、普通、子どもたちにカメラを向けると、恥ずかしがって逃げるか、無邪気な笑顔を返してくるという。だが、その子はカメラをじっと見つめたまま、ただ無言で両手を上げたという。まるで「無抵抗」を表現するかのように――。

 そして、サジリー氏は真実を悟った瞬間、胸が張り裂けそうになったと語る。確かに、望遠レンズをつけたカメラは、遠目には機関銃のように見えなくもない。目の前のおさな子は、カメラを"銃"だと勘違いしたのだ。

 英紙「Daily Mail」電子版によれば、彼女の名はアディ・フディア。4歳になるシリア人少女だ。

 彼女は撮影当時、怪我をした母親と3人の兄弟とともに難民キャンプに住んでおり、父親は2012年に殺されたらしい。筆者には、アディちゃんが両手で"降伏"を意味しながらも、ゲンコツを突き上げ、幼いながらも腹にイチモツ持っているかのように見えてならない。まっすぐに見据えた瞳は年端もゆかない子どもにも関わらず、すでに捨身のようにも見える。物心つかないうちから、生まれた国が戦火にまみれているというのは、一体どれほどの恐怖と混乱だろう。

■二度と戻らない子ども時代が戦火に包まれる

 この一枚の写真は世界中に衝撃を与え、そして動き出した人たちがいる。ソーシャルプラットフォーム「Change.org」は現在、「アディちゃんたち家族を見つけ出し、助けたい」キャンペーンを行っている。彼らは196ヵ国、7,000万人以上のユーザーが参加する世界最大のオンライン署名サービスだが、社会の不平等に声を上げ、それの改善を目的としている。彼らによれば4月10日、幸いにもアディちゃんたちはシリア北西部の町イドリブで発見され、トルコの人道支援団体「IHH」の保護下にあるという。

 今年で5年目に突入するシリアの内戦。すでに22万人以上の命が失われており、そのうち1万人は子どもたちといわれている。戦争を始めたのは大人たちだけれど、二度と戻らない子ども時代を守ってやれるのも、大人たちにしかできないことだ。
(文=佐藤Kay)

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