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「殺人依頼」キム・ソンギュン“熱愛演技がしたいのに、オファーが入ってきません”

「殺人依頼」キム・ソンギュン“熱愛演技がしたいのに、オファーが入ってきません”

 

俳優キム・ソンギュン(34)は常にこれ見よがしに観客の予想を上回る。「悪いやつら」(2011)、「隣人」(2012)、「ファイ 悪魔に育てられた少年」(2013)で鳥肌が立つほどの悪役の演技を披露し、犯罪者としてのイメージを固めたキム・ソンギュンだが、tvNドラマ「応答せよ1994」ではサムチョンポという稀代のキャラクターでソンブリー(キム・ソンギュン+ラブリー)というニックネームまで手にした。

韓国で12日に公開される「殺人依頼」(監督:ソン・ヨンホ、制作:ミインピクチャーズ)は、連続殺人犯ガンチョン(パク・ソンウン)によって妻(ユン・スンア)を失い、絶望と怒りに包まれたまま跡もなく消えたスンヒョン(キム・ソンギュン)が3年後に全く違う人物となって現れ、展開されるストーリーを描いた作品だ。

キム・ソンギュンは今回の作品で地獄のような苦痛の中で苦しむスンヒョン役を務め、もう一度自身の前作を遥かに超える演技を披露した。極度の苦痛と怒りでどんどん変わっていくスンヒョンというキャラクターは、キム・ソンギュンという翼を手にし、スクリーンの中に飛び入った。一つの作品の中でごく平凡な男性から、生きていても生きていないのと同然の、抜け殻だけが残っている人物までの両極端を行き来することとなったキム・ソンギュンは、疲弊した被害者の感情を思い浮かべ、自然人キム・ソンギュンの生活の中でもたまに涙を流したりした。

世の中に自身の存在感を知らせた「悪いやつら」以降、ここ4年間休むことなく走ってきた彼は「殺人依頼」に続き、オムニバス映画「夏に降る雪」(監督:チョン・ユンス)の公開も控えている。現在撮影中のチョ・ソンヒ監督の「名探偵ホン・ギルドン」をはじめ、3月中旬のクランクインを控えている「巫女窟」まで。今年も忙しいスケジュールが続く。

「俳優は休めば無職と同然」とし、観客に呼ばれる限りは忙しく俳優キム・ソンギュンの車輪を動かしていくという彼。スクリーンの中でまたどのような新しい顔で私たちを驚かせてくれるのか、早くから期待が集まっている。

以下はキム・ソンギュンとの一問一答である。

ー3年前と今、変化を与えるために重点を置いた部分は。

キム・ソンギュン:キム・サンギョン先輩はもともとドラマチックに変わる人ではないか。僕の場合は、ヘアスタイルの変化が一番大きい。そしてもう少し元気になったくらいかな。

ー劇の序盤のキャラクターは、とても内気でか弱い感じがした。

キム・ソンギュン:もともとはもっと弱かった。喘息患者なので、ずっと咳をする設定だった。

ー死刑制度について疑問を投げかける映画であった。

キム・ソンギュン:監督がこの作品を構想し始めた頃に、殺人事件の被害者に関するドキュメンタリーをご覧になったそうだ。ドキュメンタリーの中の遺族たちは、被害者が亡くなってからも以前と同じく食卓にご飯を用意して食べていたそうだ。やつれた遺族たちの姿を見て、「彼らの心境は、どんなものだっただろうか」という思いから「殺人依頼」を始めるようになったそうだ。

ー「殺人依頼」を撮ってから、死刑制度に対する考えが変わったか。

キム・ソンギュン:どちらかというと被害者の立場から思うようになって、被害者たちは苦痛の中で暮らしているのに、果たして加害者は法の垣根の中でどれだけ反省し、後悔しながら生きているんだろうと思った。加害者に対する刑の執行が終わった時に、被害者たちの人権を法的に補償すべきではないかと思った。

ー加害者の演技をしていた時は、思い及ばなかった部分なのか。

キム・ソンギュン:ハハハ。そうだ。加害者の演技をしていた時は「こいつらの精神世界というのは、果たしてどんなものだろう」程度だけ思っていた。心の隅では被害者に対し「僕の知ることではない」とも思っていた。「殺人依頼」では想像できるすべてを動員して思うようになった。

ーそこでアニメを見ながら泣いたりもしたのか。

キム・ソンギュン:静かな家にいる時も、ふっと感情がこみ上げてきた。僕が実際に経験したことではないけど、類似した感情を経験したのではないか。それに対する衝撃があったようだ。「ポンポン ポロロ」を見て泣いた。「隣人」を撮影していた頃は、殺人という経験を間接的にしたので、自分のことでもふとゾッとしたりした。役にハマってなかなか抜け出せない俳優もいるそうだが、「それもあり得る」と思えた。

ー心理的に最も大変だったシーンはどれか。

キム・ソンギュン:毎瞬間が辛かったが、エンディングのシーンが一番辛かった。スンヒョンがどれだけの無力感を覚えたんだろうと思って、すごく苦しかった。

ープライベートでは妻が第3子を妊娠した幸せな状況ではなかったか。

キム・ソンギュン:そうだ。「僕の家族がこんなことに遭ったら」と思うようになるが、これがまた本当に大変だ。知らないうちにそんな想像をしてしまう。ある意味では逆に幸せな僕の環境のためにキャラクターにもっと溶け込むことができたのかもしれない。

ー映画公開後の模倣犯に対する懸念もあるか。

キム・ソンギュン:殺人犯を美化していたなら、そうかもしれない。けど、映画より現実のほうがもっと残酷なので。

ーユン・スンアとの対面シーンがあまりない。残念ではなかったか。

キム・ソンギュン:とても残念だった。2シーンくらい一緒に出たかな。小物の撮影で一日くらい一緒に過ごしたが、本当に気さくで率直で良い子だった。

ー「応答せよ1994」のドヒ、今回のユン・スンア、「夏に降る雪」のソン・ユリまで。女優に恵まれている。秘訣があるか。

キム・ソンギュン:その言葉は、逆にその女優さんたちは男性俳優に恵まれていないという意味か?ハハハ。監督たちの変態な好みのためではないかな。僕を通じて代理満足をしているんだ。何より、相手役の方々と縁があったからだと思う。

ーキム・サンギョン、パク・ソンウンは二人とも有名な酒好きだ。ほぼ毎日が会食だったのでは。

キム・ソンギュン:本当に二人ともたくさん飲むし、強い。酒量が計れないほど飲む。僕は焼酎2本くらいだ。けど、今回の作品ではみんな献立の調整が必要だったのでかなりお酒を我慢していた。キム・サンギョン先輩はカロリーまで計算して、食事療法をとった。全州(チョンジュ)での撮影で、スケトウダラの干物をつまみにしてお酒を一杯しようとしたら、キム・サンギョン先輩がスケトウダラの干物のカロリーを検索して、「いや、これは食べられないな」と言ったほどだった。

ー「殺人依頼」ではこれまでのサムチョンポ役、殺人鬼の役とは全く違う方向のキャラクターを演じた。

キム・ソンギュン:「応答せよ1994」の頃は、みんな僕をサムチョンポだとばかり見ていた。時間が解決してくれるだろうと思っていたが、幸い今はサムチョンポのイメージがかなり薄まった。今は半々くらいだと思う。

ー8月に第3子が生まれるとか。

キム・ソンギュン:胎名はダボクだ。子供が生まれてくればくるほど、どんどん愛情の大きさが大きくなる。産めば産むほど可愛く感じる。もし生まれるのが娘だったら髪を切って部屋に閉じ込める。外に出られないように(笑)

ー子供も見れる作品に出演する意向はないか。

キム・ソンギュン:ジョニー・デップも娘に見せたくて「チャーリーとチョコレート工場」に出演したと言うではないか。僕もチャンスがあれば子供たちも見られる作品に出演したい。何がいいだろうか。フック船長?(笑)

ーオファーはなかったけど、上手く演じられる自信はあるキャラクターやジャンルがあるか。

キム・ソンギュン:女優とのラブストーリーだ。ウハハ。お互いにすごく熱愛をする演技を演じてみたいのに、オファーが入る作品には熱愛というものがない、熱愛が(笑) 誰かがキム・ソンギュンを熱烈に愛するという設定なら、それなりの説得力が必要だが、それができないからか。

ー映画「悪いやつら」以降、休んでいない。

キム・ソンギュン:休んではいけない。それでも特に多作をする俳優が目標ではない。僕みたいな人が休めば、それは無職と呼ぶ。休まないで着実にやっていくのが良い。それでも年に1ヶ月くらいは家で休む。もちろん、その休みの期間中は育児をする。確かに家で休んでいるのに、大変だ(笑)

ー大器晩成型だ。

キム・ソンギュン:僕を通じて勇気と元気を得たという仲間たちもいる。誰でも自分の順番というのがあると思う。周りに「君たちの順番ももうじき来る」とよく言っている。昔、演劇をしていた時から僕を見守ってきた人々は、僕がどれだけ平凡な人間なのか分かっているから、僕を通じて慰められているようだ。

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