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【映画コラム】名優ロビン・ウィリアムズをしのぶ 『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』
真夜中になると展示物が動き出すニューヨークの自然史博物館を舞台にしたファンタジーコメディーの第3作『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』が20日から公開された。
今回は、博物館の展示物に命を吹き込む石板の魔力が失われる異変が発生。事態を収拾すべく大英博物館に赴いたたラリー(ベン・スティラー)と仲間たちの奮闘を描く。
本シリーズの魅力は、ろう人形やミニチュア人形、さらには動物の剥製や恐竜の骨格標本までもが動き出すというとっぴなアイデアを、VFXを駆使して違和感なく表現しただけでなく、個性あふれる出演者によるコミカルな掛け合いや友情、それぞれの悩みや再生などをきちんと描いた点にある。だからこそ、みんなが幸せになり、歌い踊るフィナーレが毎回盛り上がるのだ。
中でもラリーとろう人形の“テディ”ことセオドア・ルーズベルト(ロビン・ウィリアムズ)の関係は擬似父子のようでもあり、シリーズの通しテーマである父と子の絆を体現する。そのウィリアムズが昨年自ら命を絶ち、シリーズ最終章とされる本作が図らずも遺作となった。それだけにラリーとテディの“別れ”のシーンは現実のウィリアムズの姿と重なって見え、涙を誘う。
スタンダップコメデイアン出身のウィリアムズはハイテンションなマシンガントークや物まねで売り出したが、映画ではアカデミー賞の助演賞を受賞した『グッドウィル・ハンティング/旅立ち』(97)をはじめ、『ガープの世界』(82)『グッドモーニング,ベトナム』(87)『いまを生きる』(89)『レナードの朝』(90)『フィッシャー・キング』(91)など、複雑な現代社会の中で人生を模索する役を得意とした。
その一方、漫画の主人公を演じた『ポパイ』(80)、ロボットを演じた『トイズ』(92)と『アンドリューNOR114』(99)、女装を披露した『ミセス・ダウト』(93)など、人間離れした役柄に説得力を持たせる“怪優”としての顔も持ち、『フック』(91)『ジュマンジ』(95)『ジャック』(96)『フラバー』(97)など“童心を忘れない大人”の役もおはことした。
ユーモアとペーソスをにじませた本シリーズのテディは、そうした過去のさまざまな役柄の延長線上にある。本作を見ながら、笑いと涙とともに名優をしのんでほしい。(田中雄二)