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チョ・ダルファン「スターではなく、評判の良い薪になりたい」

チョ・ダルファン「スターではなく、評判の良い薪になりたい」

 

俳優チョ・ダルファンに初めて会ったのは2001年の夏。映画「マイ・ボス マイ・ヒーロー」の撮影現場、水原(スウォン)工業高等学校だった。主演俳優の取材に行って偶然合流した彼は、現場でよく見かける気さくで礼儀正しい端役の俳優それ以上もそれ以下でもなかった。彼が「記者さん、これからも会えますか?」とはにかむように電話番号を渡したのが14年前のことだ。

観客動員数1000万人を突破した映画を2本も世に出したユン・ジェギュン監督のデビュー作かつ出世作「マイ・ボス マイ・ヒーロー」で合格点を受けたチョ・ダルファンは、監督の目に止まったのか、次の作品「セックス イズ ゼロ」で確実な印象を残し、俳優としてアクセルを踏み始めた。いつの間にか軍を除隊し、不思議なことに卓球で知名度を上げたかと思えば、初主演を務めた「醜い愛」で昨年末のKBS演技大賞で受賞した。良いことは重なり、3月には結婚という慶事を迎えた。

新婚旅行でネパールに行ってきた彼と梨泰院(イテウォン)でお茶を飲む機会があった。二人だけの錯覚だろうが、「変わってないね」という言葉を交わしながら、チョ・ダルファンは「所帯持ちになって肩が重い」と手で自分の肩を叩いて見せた。

「50万ウォンのカップル通帳でデート費用を分担」

―人生の伴侶との馴れ初めは?

チョ・ダルファン:親しくしている写真家がある日「ダルファン、君が探していた理想の女性がここにいる。早く来なさい」と電話をかけてきた。行ってみたら、直感的に「僕はこの女性と結婚することになる」と思う、お淑やかな方が座っていた。

―検索してみたら、交際期間は1年7ヶ月ほどだそうだが。

チョ・ダルファン:その通りだ。屈託のない人で、何より話がよく合った。結婚やお見合いをする時に相手の名刺や年俸、家柄、顔などの条件を見るが、それはいつでも失う可能性があるものじゃないか。僕たちは違った。二人とも相手の恩恵を受けたいと思ったのではなくて、あの人の足りないところを満たしてあげたいと思ったから。二人とも子供の頃から母子家庭だったという共通点もある。

―それでも、ある程度は条件を見るんじゃないか。

チョ・ダルファン:全然。15年ものの中古軽自動車に乗ってデートをしたし、指輪やバッグ、靴1足も買ってあげられなかった。毎月、それぞれ25万ウォン(約2万7500円)ずつ入金して、カップル通帳も作った。クリスマスも一緒に道峰山(トボンサン)に行ったほどだ。済州(チェジュ)島オルレ道にも何度も行ったが、一緒に行っても別々に歩いた。互いにあまり優しくしないようにしよう、時には他人のように淡々と付き合おうというのが僕たちのモットーだった。彼女は少し公益的な仕事をしている人だが、僕と興味のある事や趣味が同じで、会うたびにおしゃべりが止まらなくて互いに不思議に思った。

―一時期、ソウルを離れて済州島に住もうとしたそうだが。

チョ・ダルファン:イ・ヒョリさんが来る前から済州島で4~5年間暮らし、定住しようと計画した。訳の分からない自分への失望、怒り、無気力さで大変な時期だった。オルレ道を訪れる人々と会って、癒やされたり、エネルギーをもらったりもした。漠然とソウルは灰色がかった殺伐とした場所だと思ったが、ゲストハウスを営む知り合いの一人から「しっかりしろ。ソウルも君の心の持ちようによっては、いくらでも済州島になるんだ」と言われ、ハッと気がついた。

―金釘流の左手で書いた結婚式の招待状も話題になった。

チョ・ダルファン:表現しなければ何も始まらない。僕の心をそのようにしてでもお見せしたかった。絵やカリグラフィーにも興味を持っているが、これまで映画会社のロゴやレストランの看板の文字を書いてほしいという知人が結構いた。マ・ドンソクさんもその一人だ。

「技を使い始めたら、俳優人生は終わり」

―新居は?

チョ・ダルファン:最近狂ったチョンセ(韓国の住宅制度。保証金を家主に預けて、一定の期間住む権利を所有する制度)と言うじゃないか。30年一緒に暮らした母に小さな部屋を設けてあげて、僕たちもその近所にウォルセ(毎月家賃を払う賃貸)で部屋を設けた。僕の意思に従ってくれた妻に感謝している。

―新婚旅行でネパールに行ってきた理由は?

チョ・ダルファン:フランスのモンブランや鬱陵(ウルルン)島も考えてみたが、二人とも山が好きなのでネパールに決めた。ちょうどそこに学校を建てる仕事をしている作家の知り合いもいたので。「パイレーツ」を撮影したイ・ソクフン監督の「ヒマラヤ」にもちょっと出演するが、ネパールで撮影チームと出くわすところだった。

―オ・ダルス、パク・チョルミンが一生共にしたい後輩だと言ったそうだ。

チョ・ダルファン:光栄だ。むしろ僕が力の限りご一緒したい先輩たちだ。オ・ジョンセさんとも仲良くしている。KBS演技大賞で受賞した時、ジョンセさんと一緒にミニドラマ部門の候補だったが、僕が受賞してすごく決まり悪かった。ジョンセさんは全く嫉妬などせず、「受賞に値する」と肩を叩いてくれて、涙が出てしまった。

―俳優としての最終的な夢は?

チョ・ダルファン:気取らず、知ったかぶりせず、格好つけないことだ。今までのようにチョ・ダルファンとして真面目にやっていこうというのが目標だ。メールも格好つけ始めると個性を失ってしまうじゃないか。オ・ダルス先輩のように代替不可能なユニークな俳優として生き残りたい。

―1年に平均4作品に出演している。多作であることについて不安はないか?

チョ・ダルファン:今年も公開を控えている映画だけで「ビューティー・インサイド」「ヒマラヤ」「朝鮮魔術師」「ザ・フォーン」などがあるが、今も呼んでいただければ感謝の気持ちで駆けつけていく。特にイ・ソクフン監督は毎回僕を起用してくださる。望むことといえば、一日も早くそのように助けてくださった方々の役に立てるように、しっかりした俳優として成長していくことだ。

―今よりも有名になりたいということか?

チョ・ダルファン:スターではなく、評判の良い薪になりたいという意味だ。作品という大きな火の玉のために、自分自身をすべて燃やして完全燃焼される乾いた薪になりたい。

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