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ニュースや訳書に挑む前に読みたい 「まんがで読破」シリーズに『コーラン』が登場!!
古今東西の名作をマンガ形式で気軽に読んでもらうことを目指す、いわば大人向けの学習マンガとして評価されているイースト・プレスの「まんがで読破」シリーズ。太宰治の『人間失格』に始まった同シリーズですが、その後はマルクスの『資本論』や『共産党宣言』、はたまたアインシュタインの『相対性理論』までをマンガ化。書かれている内容だけでなく、基礎知識などがまとめられ、とりあえずマンガで読んでから原典を読みたくなっても便利な内容になっている。
そんなシリーズの今月の新刊が、『コーラン』。いわずと知れたイスラームの聖典である。冒頭から但し書きとして、「イスラム教」ではなく「イスラーム」という呼称を使うことや『コーラン』ではなく『クルアーン』と呼ばれるようになっていることなどを記しており、かなり丁寧な構成であることが一目瞭然である。
本書の中でも触れているが、『コーラン』は本来アラビア語で読むのが前提(そもそも読むものではなく、詠唱するものという、さらなる前提も)。正直なところ、日本語で読んでも難しい。日本語訳の『コーラン』としては、まず大川周明が訳し、註を入れた『文語訳 古蘭』(書肆心水)。また、昨年刊行された中田孝監修の『日亜対訳 クルアーン』(作品社)がある。しかし、どちらも本としては高額! 加えて、興味を持った人が気軽に読むにはちょっと難解である。
そうした本格的な訳書に挑戦する前に、この「まんがで読破」はものすごく役立つ。なぜなら、多くのページを割いて、「預言者」について解説。また、「最後の審判」など、イスラームやユダヤ、キリスト教にとっての基本的な知識を教えてくれる。その上で、ムハンマドが啓示を受けてから信仰を広めていく物語を記しつつ、『コーラン』には何が記されているか、そして、当時のアラビア半島でなぜイスラームが必要とされたか、までを解説してくれる。その当時(いわゆる「無明時代」)のアラビア半島が部族の掟を前提とした社会であり、部族間の対立や弱者と強者の間の不公平を乗り越える方法が、イスラームの教えであったことが、読み進めるうちに次第にわかってくる。
また、言葉の価値を重んじて、部族の対立をお互いの陣営の詩人の優劣で決めることもあったという独特の風習から、『コーラン』が読むものではなく、詠唱するものとされている理由もうかがい知れたりする。
さまざまな基礎知識を盛り込んで、イスラームが民族や国家、国境を越えた先にある存在ということを教えてくれる学習マンガ。昨今のニュースでイスラームに興味を持っているなら、まずは読んでみるとよいだろう。
(文/昼間 たかし)