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ブラック印刷会社の製版部で働いてます。本好き女子の奮闘の日々
『いぬにほん印刷製版部』(瀬野反人/芳文社)
本の並んでいる光景が好きだという人は多い。私も書店や図書館という空間が好きで、司書の資格について調べたこともあるし、DTP(PCで誌面などをデザインする)を習ったり、大手書店で働いたりしたこともある。コンビニに雑誌が並んでいるのを見るだけで、質感や表紙デザイン、特集記事をどう工夫しているのか考えてわくわくしてしまう。本が好きな学生は就職先として出版社・デザイン会社・印刷会社を候補にあげたりするだろう。本ができる過程に関わりたい人にオススメしたいのが『いぬにほん印刷製版部』(芳文社)である。
紙の本が大好きな紙谷なほ子が印刷会社に就職し、毎日残業しながら奮闘する。なほ子は本来はDPT部に配属希望だったが、人手不足で製版部に配属しろと突然告げられる。研修なしでいきなり現場入りのスタート。深夜に仕事が終わり、会社に寝泊りするのも当たり前のいわゆるブラック。いぬにほん印刷のビルは4階に営業部があり、3階にはDTP部、2階になほこ子の働く製版部があり、1階は印刷・製本部がある。無責任納期で仕事を受ける営業、超暑がりの上司、長老と呼ばれるベテラン社員たちに囲まれ忙しい日々を送る。
営業の「元本さん」は入社したての時、自分が関わった本が書店に並んでいるのを嬉しく思い、友人に「この前仕事した本!」と自慢すると「お前は印刷しただけじゃん。作り手気分かよ」と言われてしまったエピソードを明かす。それを聞いて落ち込むなほ子に「実際作ってるし作り手だと思うよ俺」と元本さんは言う。最後に本を手にとる読者には想像しにくいかもしれないが、1冊の本は色んな人の努力のもとに成り立っている。と、そんなシリアスな空気の漫画ではないのだが、1冊の本にロマンを感じずにいられない人にはぜひ読んでほしい作品である。
文=女生徒
本記事は「ダ・ヴィンチニュース」から提供を受けております。
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