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小泉堯史監督が描き出す時代を超えた人間ドラマ『蜩ノ記』
第146回直木賞を満票で受賞した葉室麟氏のベストセラー時代小説『蜩ノ記(ひぐらしのき)』。十年後の切腹を命じられた男・戸田秋谷とその監視役として派遣された檀野庄三郎の2人を中心に、師弟愛、夫婦愛、家族愛などの絆を描いた本作は、2014年、小泉堯史監督の手によって映画化された。
『蜩ノ記』のBlu-ray/DVDは4月15日発売
巨匠・黒澤明監督の愛弟子として知られる小泉監督は、人間の内面を丁寧に描き出すことで、『雨あがる』『博士の愛した数式』など数々の名作を手掛けてきた。そんな小泉監督の最新作となる『蜩ノ記』では、キャストに役所広司(戸田秋谷役)、岡田准一(檀野庄三郎役)のほか、掘北真希、原田美枝子らが集結。スタッフ、キャストともに豪華な顔ぶれが揃っている。
そんな『蜩ノ記』が2015年4月15日にBlu-ray/DVDとなってリリースされる。そこで今回は、本作のBlu-ray/DVDの発売を前に、小泉監督が語ったメッセージを紹介しよう。
小泉堯史監督が語る『蜩ノ記』
――小泉監督と『蜩ノ記』との出会いを教えてください
小泉堯史監督
小泉堯史監督「葉室(麟)さんの本が好きで、以前からずっと読んでいたんですけど、『蜩ノ記』の原作を読んだとき、これは映画にしたいと思いました。今は、時代劇ってとても難しいんですけど、この原作が直木賞を取ったということもあって、たくさんのオファーがあったみたいです。僕も、ほかの人に取られたくなかったので、すぐにプロデューサーと一緒に久留米まで会いに行った(笑)。そうしたら、葉室さん御自身、非常に映画の好きな方で、学生時代には映研に入っていたそうです。それで、これを映画化したいとお話ししたところ、翌日にOKの返事をいただけました」
――原作を読んだとき、特に映画にしたいと思った部分はどこですか?
小泉監督「葉室さんの描く人物です。特に戸田秋谷。10年後に切腹を命じられている、それってどういう人なんだろうって知ってみたくなった。小説を読めば、もちろん小説の中の主人公に会えるのですが、僕らは映画人なので、映画の中で、俳優さんに演じてもらった秋谷にスクリーンの中で会ってみたくなりました」
――ご自身で映画を撮ることによって再確認するわけですね
小泉監督「そうですね。どういう人物なのか、あらためて知ってみたいと思いました」
――撮影をしていく中で、印象が変わってくるようなところはありましたか?
小泉監督「変わってくるということはないです。最初から明確に人物像を掴んでいるわけではないので、役者さんに演じてもらって、撮影現場で出会って、その中で秋谷とはこういう人物なんだという印象を強めていった感じです」
――おぼろげだった輪郭がはっきりしてくるといった感じでしょうか?
小泉監督「少しずつですけどね。それに、日々の撮影で出会えるというのは喜びでもあるんですよ。だから、秋谷に会えるという喜びで、毎日の現場はすごく楽しかった(笑)。ただそれは、秋谷だけではありません。庄三郎もそうですし、薫もそう。たとえば、秋谷の妻の織江は、原作だと病弱なんですよ。でも病弱だと映画の中で動かせないので、村の人たちと生活しているという形にしたのですが、それによって、秋谷との夫婦のありようや2人の姿があらためて映画の中で見えてきたのではないかと思っています」
小泉監督にとっての時代劇