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沖縄に良質なエンタメが集中するワケ

沖縄に良質なエンタメが集中するワケ

 

 大阪の人気テーマパーク『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』を運営するユー・エス・ジェイが、沖縄に新たなテーマパークを建設する方針を明らかにしたことを複数のメディアが報じて話題を呼んでいる。沖縄の話題と言えば、25日に『第7回沖縄国際映画祭』が開幕したばかり。このほか、昨年10月にきゃりーぱみゅぱみゅなどが所属するアソビシステム主催のイベント『ASOBEACH!!!』が初開催されるなど、このところ沖縄から発信されるエンタテインメント関連の話題が相次いでいる。なぜ沖縄にエンタテインメントが集まるのだろうか?

【画像ギャラリー】『第7回沖縄国際映画祭』オープニング レッドカーペット

■歴史的背景から探る沖縄のエンタメ

 沖縄はエンタメ人材の宝庫であり、その人口比からは考えられないほど多くの人材を芸能・音楽の分野に輩出してきた。安室奈美恵や夏川りみ、仲間由紀恵、新垣結衣、満島ひかり、二階堂ふみなどミュージシャンからダンサー、俳優・女優、モデルなど枚挙にいとまがない。沖縄にエンタテインメントが集まる背景の起点は、琉球王国から連なる独自の芸能文化の発達にある。地理的な条件もあって、古来からアジア各国との交易が盛んだった琉球には、大陸からさまざまな文化が流入し、それが伝統文化と入り混じることで、舞踊や三線、民謡といった豊かな芸能文化が育まれていった。

 さらに近代は、第二次大戦終戦の1945年から1972年まで続いたアメリカ統治時代の影響も大きい。ラジオから流れる本場のジャズやロックは当時の若者たちを魅了し、またアメリカ兵を相手としたライブスポットで演奏するミュージシャンの需要があったことから、ギターやドラムといった欧米からもたらされた楽器を習得する者も多かった。当初こそアメリカ兵の喜ぶアメリカンロックやポップスのカバーが中心だったが、次第に“ウチナーグチ”で歌うミュージシャンも増え、現在に繋がる“オキナワン・ミュージック”のベースを築いていった。

■『X FACTOR』など世界が沖縄に注目

 このように海外の文化を幅広く受け入れてきた懐の深さと伝統文化が融合することで、他の地域にはない独自文化を形成した沖縄にエンタメコンテンツや良質な人材が集まるのは、ごく自然なことのようにも思える。イギリスのオーディション番組『X FACTOR』が日本展開するにあたって沖縄を拠点に選んだ(『X FACTOR OKINAWA JAPAN』/沖縄テレビで2013年10月~2014年3月放送)のも、沖縄のエンタメ人材を育む土壌に期待してのことだろう。

 独自の芸能文化と、その土壌が育んだエンタメ人材の豊富さに加えて、温暖な気候や自然豊かな風土、さらには人々の気質もまた、沖縄にエンタテインメントが集積している理由のひとつと言える。今年1月には、奥田民生やThe Birthdayらが出演した冬フェス『うみ・そら・おんがく・おきなわ2015』が初開催されたが、真冬にこうしたフェスが開催できるのも、日本屈指のリゾート地・沖縄ならではだ。また、(株)ユー・エス・ジェイのグレン・ガンペル社長は、新たなテーマパークの構想について「映画がテーマではなく、沖縄の場所に合ったものにしたい」とコメントしている。つまりは独特の文化や風土も含めて、観光地として多くの魅力が詰まった沖縄という土地そのものに、エンタテインメントの発信基地としての可能性を感じているということだろう。

 2009年より開催されている『沖縄国際映画祭』で縁の深い吉本興業では、世界に向けたエンタメ人材育成を目的としたプロジェクト「沖縄エンタテインメントビレッジ構想」を進めており、この2月には世界で活躍するプロデューサーなどを講師に迎えた限定スクール「ぎのわんOPEN SCHOOL 2015」を開講。2020年にはアーティストはもとより、コンテンツやエンタテインメントを発信できる人材を育成する教育施設の開校を目指しているという。東西の芸能文化を受け入れることで独特のカルチャーを育み、今や日本有数のエンタメ発信地となった沖縄。新たなエンタメがどんどん入り込み、現地の文化と融合し、また新しいエンタメを発信していくという好循環で、さらに面白いコンテンツが誕生していくことに期待したいところだ。

(文/児玉澄子)

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