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青木裕子の不出来アピールから、「日テレ女子アナ内定取り消し騒動」の争点“清廉性”を暴く
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
大江麻理子アナ“家事してない発言”に宿った、彼女がとんでもないタマであるゆえん
<今回の芸能人>
「アナウンサー、向いてない」青木裕子
『ボクらの時代』(フジテレビ系、3月22日放送)
3月15日と22日の『ボクらの時代』(フジテレビ系)は、2週連続で女性アナウンサーシリーズだった。前編は元フジテレビアナウンサーの3人(八木亜希子、近藤サト、中村江里子)、後編は元TBSアナウンサー(吉川美代子、渡辺真理、青木裕子)の3人が、それぞれ、女子アナの「清廉性」について話し合った。
日本テレビが、ホステスのアルバイトをしていた女子大生を「清廉性に欠ける」として内定を取り消した騒動(のちに和解)を受けてのテーマだが、両チーム共にはっきりとした結論は出なかった。元フジテレビチームは「フジテレビなら問題なかったと思う」とお茶を濁し、元TBSの吉川は「アナウンサーとして資質があれば、清廉性は必要ない」と一般論に終始した。
清廉性がどんな意味を持つかは、この言葉を使った日本テレビに聞かない限りわからない。が、同番組を見ていると、「内定取り消し」なんてヘマをせず、局アナを経て、フリーとして現役で仕事をし続ける、いわば勝ち組女子アナの多くに共通する「持ちネタ」に気づく。
それは、「不出来」と「不本意」アピールである。
例えば、青木裕子。青木本人が自嘲気味に「週刊誌アナ」と語るように、青木の知名度を上げたのは、男性関係だった。年下ADとの同棲、不倫など、あけっぴろげな男遍歴で、有吉弘行に「セックスちゃん」とあだ名をつけられたこともあった。
現夫であるナインティナイン・矢部浩之との熱愛発覚後は、自分が担当する番組で自分の恋愛を語るというスタイルを確立したが、公私混同ともいえる態度は賛否両論で、週刊誌主催の「嫌いな女子アナランキング」の常連の1人でもあった。さわやかで控えめなイメージが貴ばれる女子アナにあるまじき奔放さだが、そんな掟破りの青木でさえも、ほかの売れっ子女子アナと同じく、冒頭のように「アナウンサー、向いてない」と「不出来」アピールをしている。
「不本意」アピールも、「不出来」と同じく脈々と続く女子アナの「伝統芸」だ。そもそも、女子アナとは、「高学歴で語学が堪能で、育ちの良い綺麗なお姉さん」程度の認識だったが、「そんな甘いもんじゃない」と私に教えてくれたのは、青木の先輩にあたる渡辺真理である。
90年代の赤文字系雑誌には、女子アナの私物をチェックというコーナーがあり、多くの女子アナはエルメスやシャネルなど、ブランド物を公開していたが、渡辺だけが、何の変哲もない財布を紹介し、「おばあさまに頂いたもの」とコメントしていた。今と違って、90年代はまだスーパーブランド信仰が強かった時代。そんな中、渡辺は「みんなが崇拝するブランド物を良しとしない私は、みんなより一段上」という非常に面倒くさい感じが漂っていた。
俄然、興味を引かれてウォッチを始めると、ことあるごとに、渡辺が「テレビ局に興味がないのに、採用されてしまった」というエピソードを繰り返していることに気づいた。が、しばらくして、この話が嘘であることがわかる。渡辺と同年代の元NHKアナ・草野満代が、フリーになった直後、トーク番組で自分のこれまでを写真とともに語っていた。すでに大学3年生の頃NHKに就職したいと心を決めていた草野は、NHKで番組制作のバイトをするのだが、その時のバイト仲間が渡辺で、一緒に写真に納まっていたのだ。
「不出来」「不本意」を表すことは、贈答品に「粗品」と書くことに似ている(新しい店のオープン時に配られるタオルなどの粗品ではなく、きちんとした贈答品を想像していただきたい)。のしがついた贈答品は、品格と誠意を感じさせる。「粗品」と書いているが、中身は「粗」ではないことは明らかだ。のしと包装紙をはぐと、そこには選びぬかれた逸品が現れ、ありがたい気持ちになる。
女子アナは自分で「不本意」「不出来」という名ののしを掛けることによって、自分の「うまみ」を倍増させ、人気者になれる。人気のアナウンサーは局の財産であるから、大事にされる。となると、「不本意」「不出来」と言うことは行動や本音とは別の次元の行為であり、この嘘こそが、テレビ局の求める「清廉性」だと私は思う。
「プロ彼女」という言葉がある。コラムニストの能町みね子とマンガ家の久保ミツロウが作った言葉で、その定義は「芸能人やスポーツ選手のみと付き合うものの、本人は無名。過去にモデル等をした経歴があってもその証拠を残さず、報道では一般女性とされる」「彼女としてのプロ」なのだそうだ。一般人では最強レベルだが、芸能界で通用するほどではないという、ある種の中途半端さを感じさせる言葉だが、女子アナも同じではないだろうか。
女子アナは「プロ素人」なのである。学生時代にタレントとしてプロダクションに所属した過去があっても、ホステスのバイトをして高給を得ても、仕事で出会う芸能人やスポーツ選手と交際しようとうわべの態度では、「私は会社員です。視聴者の皆さんと同じ一般人です」と徹底した態度を取ることが求められる。そのためには本心や真実はどうであれ、「知らない、わからない、できない」としつこく繰り返す必要があるのだ。
無事に入社した女子アナは、現在研修中だそうだ。なかなか肝の太そうな彼女の健闘を祈りたい。
(仁科友里)