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<イミテーション・ゲーム>コンピューターの生みの親の知られざる素顔に迫る
第87回米アカデミー賞で脚色賞を受賞し、ベネディクト・カンバーバッチさんとキーラ・ナイトレインさんが、それぞれ主演男優賞と助演女優賞にノミネートされた話題作「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(モルテン・ティルドゥム監督)が、13日に公開される。映画では第2次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号「エニグマ」の解読に尽力した英国の数学者アラン・チューリングの半生がひも解かれる。
【動画】「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」予告編
1939年、ケンブリッジ大学の特別研究員アラン・チューリング(カンバーバッチさん)は、英国政府の機密作戦に参加し、5人の精鋭とともに独軍の暗号エニグマの解読に挑むことになる。しかし自信家で協調性のないチューリングは5人との協力を拒み、一人で解読マシンを作り始め孤立していく。そんな中、ジョーン・クラーク(ナイトレイさん)というクロスワードパズルの天才が仲間に加わることになり……という展開。
アラン・チューリングという人物を知らなかったが、今作は驚きと感動に満ちた作品だった。チューリングが暗号を解読するまでの緊迫感と、解読できたときの達成感。そして、その後に待ち受ける喪失感……そういったさまざまな感情が物語の進行とともに湧き起こり、チューリングという人物を解き明かすミステリー仕立ての展開とあいまって、最後までスクリーンにくぎ付けだった。今作は、アラン・チューリングという一人の天才数学者の話であるとともに、異端者に冷酷な社会や弱者差別に対する批判、仲間の重要性、愛の意味、反戦、反暴力など、多くのメッセージが込められている。そして、チューリングの研究が、現代のコンピューター科学の礎になっていることを知ることができる。もしチューリングが生きていたら、彼の目に今のデジタル社会はどう映り、またどんなものを生み出していただろうと考えずにはいられない。13日からTOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。