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<オリコンがチケットとCDのセット販売の合算集計を廃止>会いに行けなくなったアイドル川栄李奈が秘める「本当のアイドル」への可能性
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
AKB48の「会いに行けるアイドル」というキャッチコピーは実に巧妙な宣伝文句である。なぜならば、昔はアイドルは会いに行ったりできるものではなかったからである。
若き吉永小百合、キャンディーズ、山口百恵、松田聖子。手の届かないところにあるのがアイドルだった。だからファンは親衛隊などというものをつくって、アイドルとは外のところで、一定の統率の元にコンサート会場で自分の存在をアピールしたものだ。
それが「アイドルでも会えます」と謳うのがこのコピーである。語義矛盾を承知で定義にしたところは、誰も思いつかなかった発明である。
アイドルは元々「偶像」という意味だ。IS(イスラム国)が、唾棄すべきとしている「偶像」がその語源である。この場合の偶像は「偶像崇拝の否定」と言う文脈で使われるが、日本の芸能界の「アイドル(偶像)」の方は、崇拝したい対象だった。
ところがAKB48は、崇拝なんてとんでもない、
「もっと気さくに接して下さい。ルールさえ守ってもらえば、CDなんか買ってもらえば、触れたりもするんですよ。」
と喧伝したのである。それが、握手会である。
ところが、卑劣な事件が起こってAKB48のメンバーである川栄李奈さんが、握手会に出られなくなってしまったことは、皆さんが知るとおりである。その川栄さんが、
「他のメンバーが一生懸命やっている握手会に出られないことに責任を感じて、AKBを卒業する」
と、コメントした。悪いのは川栄さんをそんな精神状態にさせてしまった人物である。「握手会なんて出なくても、AKBなのに」と筆者は思ったがそれは違うのだろうか。
この川栄李奈さんの卒業であるが、実はAKB48の運営側から「人事異動」の一つとして発表されたものであった。つまり、握手会に出られないものは「解雇」であるという、運営側からのメッセージでもあると筆者は受け取ったけれど、川栄さんが、自分からは言い出せないのでそういう形にして下さい。と、申し出たのかもしれない。
ところで、川栄さんは、AKB48は「卒業」するものの、これからは「お芝居をやりたい」と表明した。こうした、芸能界の卒業イベントはこれまでのキャンディーズや、山口百恵の例を見る限り、芸能界への決別イベントだった。
キャンディーズでもミキ(藤村美樹)は引退している。決別は来し方を思って見る方に感動を生むイベントである。…