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いま話題のマルチコプターとは何か? 法整備は間に合っているのか?

 いま話題のマルチコプターとは何か? 法整備は間に合っているのか?

 

  「マルチコプター」「ドローン」などと呼ばれる、複数の回転翼を持つ小型の無人航空機が注目されている。室内で簡単に飛ばして遊ぶような小さなものから、撮影用機材を搭載し空中から地上の様子を撮影するような大きなプロフェッショナル用のものまでさまざま。「マルチコプター」とは、どのようなものなのか? 飛ばすうえでのルールはあるのか?

趣味用からプロユースまで

 [写真]カメラ見本市「CP+」で展示されたドローン(Takeshi Sumikura/アフロ)

  大きな家電量販店のラジコン売り場に行くと、多くのマルチコプターが販売されているのを見かける。とある家電量販店の店員に、一般の模型ヘリコプターとマルチコプターの違いについて聞くと、「普通のヘリコプターとの違いは、回転翼が複数あることです。これにより安定性を確保することができます。ただ、マルチコプターは、普通のヘリコプターとは違って、子どもには進行の向きがわかりにくいという問題があります」と話す。
 
  小さなものは室内用で、大きなものは室外用だという。カメラつきのマルチコプターについて聞くと、「空中で撮影してその動画を楽しむことができます。映像はSDメモリーカードに記録されます」と説明する。家電量販店にはプロ用のマルチコプターはなく、どちらかといえば趣味で楽しむために使われるものがほとんどだ。
 
  趣味用途だけではなく、防災や災害救助のための活用も検討されつつある。和歌山県田辺市消防本部では、災害現場の情報収集のためにマルチコプターを導入した。災害時の上空からの情報収集や、山間部での行方不明者の捜索などに役立てたいとする。高知県四万十町では、マルチコプターの災害時の活用法についての討論会が14年11月に開かれている。

飛行させるうえでのルールは?

  趣味用からプロユースまで、マルチコプターの活用の幅は広く、日本政府は、マルチコプターについて法整備を進めることを打ち出しているが、法整備は遅れている。
 
  現行の航空法では、マルチコプター、というよりも無人飛行機の存在が想定されていない。国土交通省は「まだどんな方針にするか固まったものはない。現在は無人機について情報収集と検討を行っている段階だ。現在、検討チームをつくって進めている」と話す。
 
  航空法第2条では、人が乗るものを「航空機」として定義づけているが、無人の機体は想定していない。同法99条の2では「何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない」としている。
 
  模型飛行機の運用も、これにそっており、航空法施行規則の209条3と4には、具体的に書いてある。この箇所では、航空交通管制圏・情報圏の地表または水面から150メートル以上の場所、航空路外で地表または水面から250メートル以上の場所で飛ばすと、航空機の飛行に影響があるとしている。現在のマルチコプターに関する法律は、このくらいだ。

墜落事故や保安上の懸念も

  マルチコプターに絡む事故も無視できない。2014年11月、神奈川県でのマラソン大会でマルチコプターがスタート直後の映像を撮影しようとして墜落し、スタッフが軽いけがをした。アメリカでは今年1月、ホワイトハウスにマルチコプターが墜落しており、保安上の懸念も指摘されている。
 
  マルチコプターでの空中から撮影する空撮業者は安全に対してどのような対策を取っているか。福井市にある「日本空撮」は、「電波などをテストした上でフライトしている。モーターやバッテリーに関しては使用時間を計っていて一定の時間がきたら交換している。もちろん、保険にも入っている」と話すが、各業者によってルールが異なっているのが現状のようだ。
 
  法整備にもしばらく時間がかかり、安全基準を定めるのも難しい。だが、マルチコプター普及の上で、必要なことである。
 
 (ライター・小林拓矢)

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