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大塚家具が配当を2倍3倍と大盤振る舞い、その原資はどこにある?
大塚家具の経営権をめぐる株主総会の委任状争奪戦が、チキンレースの様相を呈してきました。現社長の大塚久美子氏が表明していた配当を2倍にするという提案に対して、創業者で会長の大塚勝久氏が、3倍配当を表明して、他の株主の支持を求めています。配当引き上げ合戦となっているのですが、肝心の経営は大丈夫なのでしょうか。
チキンレースの様相を呈してきた大塚家具の委任状争奪戦
大塚家具は、創業者である勝久氏の娘である久美子氏が後継者として2009年に社長に就任しました。しかし、久美子氏の経営方針に疑問を持った勝久氏が久美子氏を解任、さらには久美子氏が逆に勝久氏を解任して社長に返り咲くなど、同社の経営をめぐって内紛が続いています。
現在、同社の株式を最も多く保有しているのは創業者の勝久氏で、2013年12月末時点で18%のシェアとなっています。次に株式を持っているのは娘の久美子氏で、資産管理会社を通じて約10%の株式を所有しています。その他の株主がどちらに付くのかで、勝負が決まることになります。役員の選任は株主総会で決まりますから、現在、株主総会に向けて両者が多数派工作を行っているわけです。
久美子氏は、金融機関やコンサルティング会社に勤務した経験があり、社外取締役の積極的な登用や、配当の額を2倍にするなど、コーポレートガバナンスを意識した経営方針を明らかにし、支持を訴えています。一方、勝久氏は当初、従業員の支持があることを強調していましたが、今度は、配当額を3倍にするという策を打ち出し、株主からの支持獲得に乗り出しました。
しかし、市場ではこのような大盤振る舞いをする余裕があるのか疑問視する声が上がっています。同社の2014年12月期の決算は、何とか4億7000万円の当期利益を確保しましたが、営業利益は4億円の赤字となっています。現在、同社の配当は40円ですが、配当を支払う必要がある株式数は約1850万株あります。このため、配当に必要なお金は7億4000万円となり、同社の利益を上回ります。さらに配当額を2倍にすれば14億8000万円、3倍にすれば22億2000万円が必要となります。2013年12月期の当期利益も8億5000万円しかありませんでしたから、同社の今の収益力では利益から配当を実施することは困難でしょう。
ただ同社の自己資本比率は74%となっており財務体質は良好です。投資有価証券の売却により手元には120億円の現預金がありますし、投資有価証券も70億円ほど残っています。これらを取り崩していけば、当分の間は高い配当も維持することが可能です。貯蓄を取り崩してでも、両陣営は経営権を握りたいと考えているようです。
一般に株主にとっては配当が高い方がよいのですが、その原資が自分自身の資産ということになると、タコが自分の足を食べるようなものです。むやみに配当を上げても、株主が支持してくれるかどうかは分かりません。本当の意味で株主からの支持を得るためには、今後の経営戦略を明確にし、株主に対してどのように長期的利益を還元するのか示していく必要がありそうです。
(The Capital Tribune Japan)
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