「記憶に残る東京五輪を」＝ＩＯＣ派遣の河村さん

　

　 インタビューに答える東京五輪・パラリンピック組織委員会の河村裕美文化教育担当部長＝１２日、東京都新宿区

　 　２０２０年に東京五輪を開催する日本から、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）本部に派遣されることになった河村裕美さん（４０）。文部科学省で国際関係や学校教育分野を歩み、昨年１０月から東京五輪・パラリンピック組織委員会で文化教育部門を担当。４月からはパイプ役の重責を担う。「ＩＯＣが何を重要だと思っているかがいまひとつはっきりしない。お互いの手が離れないようにつなげ、まずは調整役をするんだという思い」と抱負を語った。
　　－ＩＯＣでは具体的に何を担当するのか。
　　開催都市の準備状況を確認する調整委員会の事務局に入る。ただ、ＩＯＣにも組織の論理や文化がある。日本とのつなぎ役になれるように、まずは仕事のやり方を学ぶ。
　　－文科省、組織委で文化・教育に関わった。
　　世界のリーダーになれる人材を育て、若い時期に海外挑戦を促すプロジェクトをゼロから作った。１０年先、２０年先を見据えて立ち上げた。
　　－５年後の東京五輪にどう携わりたいか。
　　前例のないことをやって、みんなが驚きと楽しさを感じるのが五輪。ロンドン五輪組織委の人がそう言っていた。いい意味で期待を裏切る瞬間をいくつ生み出せるか。そこに東京五輪のチームに関わる意味があり、それで評価されると思う。
　　－いい意味で期待を裏切る瞬間とは。
　　例えば開会式。（日本開催だから）歌舞伎とか相撲、アニメ、ロボットでしょ、と言われる。でもそれは誰もが想定できること。想像できることが行われたら、人は安心はしても感動はしない。記憶に残る瞬間にどれだけ人々を巻き込めるか。
　　－五輪への思いは。
　　初めて現地で観戦したのはロンドン。射撃を見て、シーンとした会場に驚いた。そこで競技の観戦マナーや選手の背景にあるストーリーを教えてもらった。私も一夜漬けのタイプだが、五輪は観戦者がいろんなことを一気に学ぶ場だと思った。
　　五輪開催という起爆剤を活用して新しい社会文化をつくり出せるか。これからＩＯＣで学び、世界中の五輪準備などを見ていく。日本と他国を連携させて、どう社会を変えられるかを考えたい。
　◇河村裕美さんの略歴
　　河村　裕美（かわむら・ひろみ）大阪大卒。９８年４月に文部省（現文部科学省）入省。特別支援教育課などを経て、０３年に米コロンビア大公共政策大学院修士課程修了。大臣官房国際課など国際業務を経て、初等中等教育段階におけるグローバル人材育成を担当。１４年１０月から東京五輪・パラリンピック組織委員会文化教育担当部長。４０歳。大阪府出身。