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打線の厚みだけではない 「一塁・阿部」の復帰が巨人にもたらすものとは

 打線の厚みだけではない 「一塁・阿部」の復帰が巨人にもたらすものとは

 20日の日本ハム戦であった、ファースト・阿部による見逃せないシーン

  開幕まで1週間を切り、各球団のチーム作りは仕上げの段階に入ってきた。リーグ4連覇を目指す巨人では、オフに右肘などの手術を受けた長野久義外野手が1軍復帰。先週末からは、右ふくらはぎの張りを抱えていた阿部慎之助内野手も戻った。クリーンアップに2人の名前があることで、チームとファンの安心感も違う。得点力不足も解消されていくはずだ。

  打線の厚みもさることながら、ファースト・阿部の働きはどうか。慣れ親しんだ捕手からの転向。すぐに対応できるほど、このポジションは簡単なものではない。阿部もキャンプから細かい動きを体になじませながら、必死に練習を行っている。

  プレーそのものとは別に、阿部がファーストで復帰してから見逃せないシーンがあった。3月20日の日本ハム戦。終盤に出てきたリリーバーのマシソンが2球続けてボールを投げた。すると、阿部は誰よりも早くマウンドにかけつけ、「間」を作った。

  投手コーチがマウンドに間を取りに行くシーンはよく見るだろう。試合の流れをいったん止めて、相手のリズムを中断させる狙いがある。

  しかし、それは次の打者を迎える前に行うもので、投球の間にやってしまっては試合時間が長くなり、リズムもかえって悪くなる。そういう場合は捕手がマウンドに行くことが多いが、内野手も駆けつけて、ひと呼吸を置き、投手を冷静にさせるものだ。それを阿部は他の野手の誰よりも素早く行っていた。

巨人で長く捕手を務めてきた阿部にしか見えない部分もある

  投手のタイプによっては、マウンドに上がると集中しすぎて、周りが見えなくなるときがある。そういう場合は間を取ることが非常に効果的だ。後ろから見ていた内野手が、なぜ投手のリズムが悪くなっているのか、気づくことだってある。

  巨人で長く捕手を務めてきた阿部にしか見えない部分も多くあるだろう。頭に血がのぼっていたり、動揺している投手をいかに「普通」の状態に戻してあげることができるかがカギとなる。阿部が復帰したことで、投手陣にとっては心強いバックアップが後ろにいることになる。

  今年の巨人は相川亮二、小林誠司といった捕手が中心となって、バッテリーを組むことになる。だが、捕手の視点を持つファースト・阿部の「気づき」が試合の流れを左右することもあるだろう。

  守備側で間を取るタイミングは難しい。そういう状況になった時というのは、だいたいは試合が劣勢の時。もちろん、一番良いのは、阿部ら守備陣が間合いを取らなくてもいいリズムで試合が進むことだが……。もう1人の扇の要・阿部の動きに注目したい。

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