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最強の二遊間 2000年代は中日の荒木と井端「アライバ」活躍
主観を排除し、数字のみでプロ野球「最強の二遊間」を考えるとどうなるか。『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)など野球関連の著書が多いライターの広尾晃氏とともに、野球を統計学的に分析する「セイバーメトリクス」を用いて変化について分析した。
二塁手、遊撃手の合計守備機会1000回以上を対象とし、「確実性」「守備範囲」「俊敏性・コンビネーション」の3項目のベスト5を、10年刻みで見てみた。
「確実性」は二塁手と遊撃手の守備率(守備機会に対して失策をしなかった確率)の平均値。「守備範囲」は2人のRF(レンジファクター=アウト寄与率)を試合数で割った数字。「コンビネーション」は2人が関わった1試合あたりの併殺参加数である。
「確実性」を表わす守備率は60年間で約2%上がっている。
「グラブやスパイクの機能向上と、人工芝になってイレギュラーが減ったのが理由です」(広尾氏・以下「」内同)
「守備範囲」は狭くなっている。
「長打と三振数が増えたため守備機会が減ったからです。今と昔の単純比較はできません」
「コンビネーション」を表わす1試合当たりの併殺参加数は昔の二遊間の方が多かった。
「昔の選手の方が守備はうまかったといえるが、俊足選手が増えてきたことも要因の1つでしょう」
年代別に見ていこう。1950年代は遊撃手では吉田義男(阪神)が守備率、守備範囲、併殺の参加数などすべてに登場している。
1960年代で目立つのが近鉄の遊撃手・矢ノ浦国満。
「守備能力が高く高卒ルーキーで110試合に出場しています」
1970年代は山下大輔(大洋)が遊撃手としてズバ抜けているが、コンビを組んでいたシピンも3部門でランクイン。
1990年代になると、今もBCリーグの石川ミリオンスターズで選手兼任監督を務める56歳のフランコ(ロッテ)が小坂誠とのコンビで登場。当時40歳だった。外国人二塁手、遊撃手の特徴は守備範囲の広さだ。
「日米の野球観の違いですね。米国ではエラーをしてでも捕りに行くのが優秀な遊撃手といわれる一方で、日本では確実にアウトを取ることが求められる。興味深いデータです」
2000年代はやはり中日の荒木雅博と井端弘和の「アライバ」コンビの活躍が目立つ。広島は1990年代の正田&野村に代わって東出輝裕と梵英心(そよぎ・えいしん)の新コンビが登場。さらに2010年代には東出に代わって菊池涼介が登場し、梵とコンビを組んでいる。
「菊池は守備範囲が遊撃手並みに広い。二塁手主導の新時代の二遊間が期待されます」
守備率と守備範囲で2010年代トップのヤクルト田中浩康と川端慎吾の若手コンビとともに今後を代表する二遊間となりそうだ。
※週刊ポスト2015年4月10日号