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クマムシのレーベルメイト、ポップでキュートな「ふぇのたす」が作る新時代の輪
いろんな切り口で、手をつくして「楽しさ」を生み出す。いろんな人を巻き込みながら、その独特なセンスとキャラクターで「面白さ」の輪を広げていく。ミニアルバム『PS2015』でいよいよメジャーデビューを果たす「ニューエレクトロポップユニット」ふぇのたすは、そんな3人組だ。サウンドは1980年代ニューウェーブ直系で、キャッチーなメロディーとボーカル・みこのキュートな歌声が何よりの武器。そして、ライブのMCやミニアルバムのショップ特典CDに収録されるトークなど、三人のとりとめのなくファニーなお喋りもグループの「売り」になっている。
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映画『おんなのこきらい』の音楽をつとめたり、メンバーの敬愛する「れもんらいふ」代表のアートディレクター千原徹也がMVやアートワークを担当したりと、さまざまなカルチャーと交わり始めている今、三人の目指すことを語ってもらった。
■ふぇのたすのスタイルというか、ちょっと特殊な面白さを楽しんでる人達が増えてきたなと思いますね。(ヤマモト)
―ふぇのたすは、昨年12月に渋谷CLUB QUATTROのワンマンライブでメジャーデビューを発表しました。ライブ開演前からステージに大きく「祝・メジャーデビュー」と貼りだしてあったり、紅白のテープカットをしたり、かなり派手なお祝いをしていた。あの日はどういう実感がありました?
ヤマモト(G,Syn):まだ誰もやってないメジャーデビューの発表の仕方をしたくて、ライブが始まる前から終わるまでずっとお祝いをしてたんです(笑)。発表してお客さんのワッ! って笑顔を見た時に、メジャーデビューする実感が生まれましたね。
みこ(Vo):お客さんの熱量を感じ取ったという。
澤(Per):Twitterでも「おめでとう!」ってリプライが沢山きたり、泣いてるお客さんもいて、そういうところで実感はありましたね。
ヤマモト:それこそしれっと発表することもできるけど、ライブで2時間かけて、踊りながらそれを祝うのがふぇのたすっぽいなって思います。メジャーデビューも「楽しいこと」なんだっていう。
―しかも、ユニバーサルミュージックの「ZEN MUSIC」レーベルからデビューするんですよね。レーベルメイトにはお笑い芸人のクマムシと、サンリオのキャラクターのKIRIMIちゃん.もいる。ここに加わるっていうのはどうですか?
ヤマモト:「なんか面白いやつらが集まってる」レーベルって感じですよね。そういう意味ではやはり、僕らには一番いいレーベルかもしれない。この中で一番面白いやつになりたいっていうのはありますね。「さすがふぇのたすはZEN MUSICの中でも目立ってんな!」みたいな。
―ふぇのたすって、独自の「楽しさ」を追求してきたわけですけど、そうした自分達のテイストや存在が徐々に広まってきてる実感はありますか?
ヤマモト:ふぇのたすのスタイルというか、ちょっと特殊な面白さを楽しんでる人達がけっこう増えてきたなと思いますね。それは僕達がやりたいことでもあったし、前回のインタビューでも話した通り、ふぇのたすらしい盛り上がり方がやっぱりあって。だって、この間のワンマンライブの演出も、よくよく考えたらわけわからないですからね。
みこ:確かに。何も知らずにライブを観にきたお客さんに、「今から私達のメジャーデビューを祝って下さい!」っていきなり言って(笑)。
ヤマモト:だけどお客さんも、「ここに来たことがラッキー!」みたいな空気になってたんですよ。それがやりたいことだなって思いましたね。
■みんな、ふぇのたすを使って自分のやりたいことをやってくれてるんです。(みこ)
―ふぇのたすの楽しみ方が、伝わってきたわけですね。
みこ:そうですね。しかも今までは一緒に楽しむ相手がお客さんだけだったけど、メジャーデビューするにあたって、一緒に仕事をする制作陣やスタッフの方が増えて、その人達がみんな楽しんでやってくれている感じがします。
―なるほど。周りを巻き込んで、一緒にクリエイティブなことをやっている。
みこ:みんな、ふぇのたすを使って自分のやりたいことをやってくれてるんです。今回リリースする『PS2015』に関してだと、私がずっと好きだった千原徹也さん(アートディレクターで、株式会社れもんらいふ代表)にアートディレクションをお願いしたんです。千原さんは本当に一緒にふぇのたすを楽しんでくれて、「自分の会社が目指すことと、ふぇのたすのユーモアが一致しているので、すごく楽しい仕事です」って言ってくださって。
―相思相愛な感じですね。
みこ:ずっと笑顔が絶えない現場でした(笑)。そういうことを聞くと、私達が今まで築き上げてきたものがあるからこそ、感覚が共有できるようになったのかなと思って。だから今回は過去最高のアートワークが作れたんじゃないかなって、私はすごく思っています。
―ちなみに、千原さんにはどういうイメージを伝えたんでしょうか?
みこ:「この方向で行きたいです」って言ったわけではなくて、「ふぇのたすはこういうグループなんです」っていう説明をして、千原さんに案を出していただいたんです。そこからいろいろ擦り合わせていって、ちょうどいいバランスを探りながら作っていった感じです。
―千原さんにはどうやって「ふぇのたすはこういうグループなんです」って伝えたんですか?
みこ:それはもう、私達のトークのありのままを聞いてもらった感じ(笑)。この空気感を味わってもらう、というか。やっぱり言葉では絶対に伝わらない何かがあるんですよね。1回ライブを観てもらえばわかってくれるんじゃないかと思います。
■ふぇのたすの歌詞って、「皆が使う言葉だけど、誰も言ったことがないこと」を大事にしてるんです。(ヤマモト)
―ミニアルバム『PS2015』の収録曲では、まず“ふふふ”という曲がショートバージョンで公開されました。これは改めての自己紹介ソングという位置付け?
ヤマモト:そうですね。ふぇのたすって、「へのたす」と間違われたりするんですよ。だから、「ふぇのたす」の「ふ」を強調して、“ふふふ”です。
澤:「へ」なのか「ふ」なのか、ここでハッキリさせとこうって。
―まずはきちんと名前を覚えてもらおうと。
ヤマモト:これは僕らが初めてリハーサルスタジオの予約をした時の話なんですけど、「ふぇのたす」で電話予約したのに、当日行ったら予約が入ってなかったんですよ。
澤:受付のところに書いてある「本日のお客様」に名前がなくて、よく見たら「せのたつお」っていうのがあって。「ふぇのたす」が「せのたつお」になってたんです!
―ははははは! ホント、それ?
みこ:本当なの! 嘘じゃない(笑)。
澤:予約するとき電話で2回ぐらいちゃんと言ったんですけどね(笑)。
ヤマモト:そんなこともあったんで、名前を正しく覚えてもらうための曲を作ろう、ということです(笑)。
―そして、リード曲として“今夜がおわらない”が公開されています。これはふぇのたすにとってどういう象徴になりそうな曲?
ヤマモト:メジャーで最初に出すものとして、今までで一番いい曲を書こうと思いました。一番わかりやすい名曲、これからずっと残っていく曲を作りたいって。だから、これまで自分が積み重ねてきた要素とか手に入れたものを全て出した曲でもあります。
―確かにこれは、代表曲になると思います。みこさんとしては、曲の印象は?
みこ:すごくよくて、聴いた瞬間に踊りましたね。「ここはこういう風に歌いたい!」ってイメージがパーッと浮かんできて、実際ふぇのたすの中で一番好きな歌になりました。レコーディングでもずっと歌っていたかった。
―まさに“今夜がおわらない”ですね(笑)。
ヤマモト:そのタイトルから、相当悩んだんですよ。ふぇのたすの歌詞って、難しい言葉は使わずに、みんなが使う言葉で誰も言ったことがないことを書きたくて、タイトルもそういうものにしたいと思ったんです。
―曲自体には、どんなイメージや思いを込めたんでしょう?
ヤマモト:ふぇのたすがいつも言ってる「みんなで楽しむ」っていうことを、曲で表現したいと思ったんです。いつもライブの最後にやる“ありがたす”っていう定番曲があって、それは僕らからお客さんに感謝を伝える曲でもあるし、みんなでバカ騒ぎをする曲でもあるんです。でも、そういうライブの終わり方とは違う、別の「楽しい」の可能性があるんじゃないかって話をしてて、それで作った曲だったんですね。「わーっ!」って騒いで終わりっていうよりも、「もうちょっとこの時間が続いてほしい」っていう気持ち。“今夜がおわらない”には、それが歌詞とかタイトルにも出てるんじゃないかと思いますね。
―「おわらない」ってことは、「終わる」ことを匂わしてますからね。
みこ:そう。切ない……(笑)。
■やっぱり僕らはニューウェーブやエレクトロポップが一番好きな音楽だし、リアルタイムでそれを作っていた人とこの曲を作れたのは純粋にミュージシャンとしても嬉しかったです。(ヤマモト)
―このアルバムには“夜更かしメトロ”という曲も入っています。“今夜はおわらない”との対比も感じられますが、どういう経緯でできた曲なんですか?
ヤマモト:これは僕らが最初にスタジオに入った時にやった曲で、ふぇのたすの歴史の中でも一番初めからある曲ですね。それを今回ようやく音源化できたんですけど、音楽性的にやってみたかったことがさらに詰められて嬉しかったです。
―この曲は、前作の『胸キュン’14』同様、吉田仁さん(Salon Musicのメンバー。古くはFLIPPER’S GUITAR、最近ではアナログフィッシュやSISTER JETのプロデュースもしている)がプロデュースしていますね。それがやはり、音楽性的な発展に繋がっている?
ヤマモト:そうですね。やっぱり僕らはニューウェーブやエレクトロポップが一番好きな音楽だし、あの当時からリアルタイムで作っていた人とこの曲を作れたのは純粋にミュージシャンとして嬉しかったです。歴史をアップデートしていくって意味もあるので。
―そして“女の子入門”は映画『おんなのこきらい』の主題歌です。これは映画自体がふぇのたすの音楽とかなりリンクした作りになっているんですよね。
ヤマモト:『MOOSIC LAB』という「音楽×映画」をコンセプトにした映画祭に監督の加藤綾佳さんが参加することになって、監督のイメージと僕らの音楽が噛み合ったらしく、ご連絡をいただいて。最初の段階では“可愛いだけじゃダメみたい”とか“おばけになっても”などの、すでに発表してた曲を使う予定だったんです。ただ、その時にちょうど“女の子入門”って曲を作っていて。しかもボツにしかけてたんですよ。
みこ:1番のデモだけ作ってたんだよね。
ヤマモト:でも、映画の台本を見た時に「ドンピシャじゃん!」と思って。ここから映画をもう一歩面白くできるかもしれないなっていう感覚があり、それで台本を頂いた後に2番を書いたんです。不思議な順序で生まれた曲ですね。
―じゃあ、映画がなかったらボツになってた?
ヤマモト:可能性はありますね。
みこ:私は個人的には好きな歌だったんで、ボツかもって話に「え? やだ!」って思ってたんです。だから「あれを出そう」となって「是非!」って思いました。
■基本的に、何でもなさそうなものの中に面白いものをみつけるのが、僕らのスタンスなんですよ。(ヤマモト)
―映画『おんなのこきらい』には、皆さん出演もされました。
みこ:しちゃいましたね(笑)。
ヤマモト:みこさんはセリフもありましたからね。
みこ:ありましたね。私はカフェの店員という役で、主演の森川葵ちゃんとセリフを交わすシーンがあって。かなり重大なシーンだったんですよ。葵ちゃんの演技の気迫がすごくって、めちゃくちゃ緊張しました。
―単に主題歌を提供するわけじゃなくて、一緒に映画を作っていったわけですね。
ヤマモト:最初にスタッフ一同が集まる飲み会から参加してました(笑)。
みこ:誘われた飲み会は断らない、っていうのが私の中でのテーマなんです。
―初めての映画出演は、貴重な経験でした?
みこ:貴重でしたね。それまで私、映画って嫌いだったんですよ。でも本当に偶然にも去年から映画の面白さに目覚め始めて、その頃に『おんなのこきらい』の話をいただいて。しかも『MOOSIC LAB』で準グランプリをいただいて、2月14日から全国上映が決まって、それと同時に私達のメジャーデビューも決まって。何一つ最初から決まっていたことなんてなかったけど、映画と一緒に成長してきたような感じがあって。本当に貴重な体験でした。
―ふぇのたすは、メジャーデビューのタイミングで、アートディレクターとも、映画監督とも、一緒に楽しめたわけです。この先も、たとえばファッションとか、いろんなところとやりたい?
みこ:やりたいです! もちろん! 360度なんでもやりたいです。
―ふぇのたすがそういう風に誰かと一緒に面白いモノを作る、楽しんでやるっていうスタンスを共有できる秘訣は、どういうところにあると思います?
みこ:私が人間が大好きだからかもしれないです。
ヤマモト:うん。基本的に、何でもなさそうなものの中に面白いものをみつけるのが、僕らのスタンスなんですよ。もはや趣味レベルでそういうことが行われていて、例えば、今回のアルバムの中で“サラダになあれ”って曲があるんですけど、別にこんなこと考えなくたっていいだろってことの中にも、面白いことがある。
―野菜とサラダの違いはドレッシングがかかってるかどうか、ってことだけを歌ってる曲ですね。
ヤマモト:そういう風に、僕らの中で面白いことを探すことが面白い。そうすると、たとえばアートディレクションでも「こういうものが作れます」「じゃあやりましょう」っていうのを超えて、一緒にやってて面白いことが作品になる。そういう「面白いところを探す」っていうのがポイントかもしれない。
―たとえば“サラダになあれ”をスーパーの生鮮食品売り場の人が気に入ってくれて、「野菜の売り場でミニライブやってください」って言われたら?
ヤマモト:やると思います。
みこ:乗りますね、完全に(笑)。楽しそう。
―可能性はまだまだありますね。
ヤマモト:そうですね。可能性を探すのが楽しいんじゃないですかね。ただ、言うのは簡単なんですよ。それっぽい集まりにいくと「面白いことやりましょうよ!」ってよく言ってくる人、いるじゃないですか。
―いるいる(笑)。
ヤマモト:でも、面白いことなんてすぐにできるわけないんで。まずは相手の面白いところを見つける。それに、自分達がどれだけ面白い人間になれるかっていう努力も続ける。そういう話はずっとしてるよね。努力って言うより、最近あった面白い話とか喋ってるだけだけど(笑)。でも、結局それが曲になってたりするからね。
―楽しくやるためには、それ相応に考えることは必要なんですね。
ヤマモト:考えてる時間は確かに長いと思います、ふぇのたすって。スタジオに入る前が長かったりする。相変わらずみんなでご飯を食べてるし、そういう時にすごく話をするし。
みこ:その話をしてるのも楽しい。
■「次の時代で格好いいものはきっとこれだ」と思ってふぇのたすをやってるんですよ。だから、早くその中心になりたいですね。それが私の一番やりたいこと。(みこ)
―ちなみに、ふぇのたすは1980年代的なエレクトロポップの音楽性をやっているわけですが、このキラキラした感じはなぜ三人の好みにハマるんでしょう?
ヤマモト:80’sに共通してる感覚って、一つひとつの音にはこだわりがある一方で、すごく上手いとかテクニカルでは全然なくて、とにかく格好いいと思ってるものをそのまま出している感じがあるんですよね。たとえばTR-909(1980年代にローランドから発売され、名器となったドラムマシン)の音って、ドラムそのものの音とは全然違うじゃないですか。でも、それを格好いいと思ってテクノやエレクトロポップに使った人達がいた。それって、「音楽はこうじゃないといけない」という先入観から離れた、まさに本来の意味でのサブカルチャーだと思うんです。そういうスタンスがやっぱり自分達に近いなって感じてますね。
―サウンドだけじゃなくてスタンスも理由になっている。
ヤマモト:そうですね。音楽性も影響を受けてるけれど、同時に考え方も共通しているという。「格好よければいい」っていう感覚は、そこから引き継いでるものなのかなと思いますね。
―去年、NHK教育テレビで宮沢章夫さんが『ニッポン戦後サブカルチャー史』という番組をやっていたんです。そこで、1980年代について「みんなが格好よくなろうとしてた時代なんだ」って言ってたんですね。1990年代以降はそれに照れや気取りが出てきたりする。リアルさを求めたりする。でも、1980年代は真っ直ぐに格好いいことを目指していた。軽薄なんだけれども、その軽薄さがキュートさにつながっていた。
ヤマモト:確かにそれはふぇのたすの感覚に当てはまるかもしれないな。
澤:僕らも軽薄に見られる瞬間もあるからね。
ヤマモト:でも、全然、それでいいんですよ。俺らはこれが格好いいと思ってやってるんで。そこで変に嘘をつきたくないし、自分達がいいと思ってるものはそのまま出したいし。それがそのまま受け止められていくのが面白いかなと思います。
―では最後に。ふぇのたすとして、今後はどういう存在になっていきたいですか?
みこ:私、「次の時代で格好いいものはきっとこれだ」と思ってやってるんですよ。だから、早くその中心になりたいですね。それが私の一番やりたいこと。
澤:音楽からいろんなことができるんだなっていうのを見てもらいたいと思いますね。僕らは本屋さんでトークショーもしたし、まだまだやれることは沢山あると思っているので。
ヤマモト:まずは、メジャーに来た一つの意味としても、できる限り多くの人に聴いてもらいたいです。それで、僕達の考える面白さをいろんな人にも感じてもらいたい。そのための活動をしたいなと思います。そこから自然に繋がりが広がっていくといいなと思いますね。