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トルクフルなデミオ・ディーゼルはレースでも速く走れるのか? 「Team NOPRO」の挑戦
日本のモータースポーツシーンにおいて、新たな歴史の扉がまたひとつ開かれた――。日本最高峰の耐久レースである「スーパー耐久シリーズ」(以下S耐)に、初めて直噴ディーゼル・ターボエンジンを搭載したレーシングカーが登場したのだ。
⇒【写真】マツダ・デミオ・ディーゼルを走らせる「Team NOPRO」
その名はマツダ・デミオ・ディーゼル。いま飛ぶ鳥を落とす勢いの小型5ドアハッチバック車である。走らせるのは「Team NOPRO」。老舗のマツダ車チューナー「ノガミ・プロジェクト」が母体となるレーシングチームであり、筆者はそのDドライバーとして開幕戦ツインリンクもてぎを走った。
「Team NOPRO」は先代のデミオ(ガソリンエンジン)からS耐に参戦しており、昨年はシリーズ3位という輝かしい実績を残している。今年は、これを煮詰めることでさらなる高見を目指すのかと思われたが、「Team NOPRO」が選んだのは、新登場した1.5リッターのSKYACTIVE Dを搭載したデミオ・ディーゼルだった。その理由を、代表である野上敏彦氏はこう語る。
「結果を残すという意味では、ガソリンエンジン車を熟成させる手もありました。しかし我々がレースに参加している意義を考えたとき、やはりそこにはエンジニアリングとしての夢が大切だったんです。マツダが新時代の高燃費エンジンとして登場させた直噴ディーゼル・ターボを、レースという実践の場で深く理解したい。未知の領域に挑戦して、燃費を維持したまま速くしたい。そうすることで、より多くの人々に、マツダの魅力が伝わると考えました」
マツダ・ファンの期待を一身に集めてサーキットへ登場したデミオ・ディーゼルだったが、その滑り出しは決して順調ではなかった。予選は2分29秒357(谷川達也選手)で、参加台数45台のなか45位。対してライバルたちは、トップのホンダ・フィットRSが2分17秒453と、13秒近く速いのである。より多くの燃料を搭載する決勝レースは2分30秒をベストに、粘り強い走りで総合40位。しかしデミオ・ディーゼルが参戦するST5クラスでは、最下位の6位だった――。
⇒【後編】に続く『デミオ・ディーゼルで勝つための希望が見えた!』http://nikkan-spa.jp/829551
<取材・文/山田弘樹 撮影/池之平昌信>