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安全で痛くない内視鏡検査 中目黒消化器クリニック・田淵正文さん

安全で痛くない内視鏡検査 中目黒消化器クリニック・田淵正文さん

 ★ブラックジャックを探せ 中目黒消化器クリニック院長・田淵正文さん(57)

 東急東横線の中目黒駅、東急田園都市線の池尻大橋駅のいずれからも徒歩10分ほど。閑静な住宅地に建つ中目黒消化器クリニック(東京都目黒区)は、今では都内でも珍しくなった「有床診療所」。

 医療法では20床以上の入院ベッドを持つ医療施設を「病院」、19床以下(無床を含む)を「診療所」と定めているが、経営的な問題から診療所で入院施設を持つところは減少の一途をたどっている。

 そんな中、同クリニックが、地価の高い都市部で有床診療所を維持し続けている背景には、院長である田淵正文医師(57)の強いこだわりがある。

 「学生時代に潰瘍性大腸炎になり、大腸内視鏡検査を受けたんです。その時の苦痛があまりにも衝撃的で、以来『苦痛のない内視鏡検査』が自身の目標になりました」

 卒業後は消化器内科に進み、内視鏡操作の技術向上に取り組む。自ら開発した「痛みのない内視鏡検査」は患者だけでなく医療関係者からも高く評価され、内視鏡検査と治療に特化することを目的に設立したのが現在のクリニックなのだ。

 「とにかく丁寧に診たいので、1人の患者の検査に1時間程度はかけています。通常の外来もある中で、それだけの時間を費やすには、日帰りでは無理がある。安全性を考えると、入院してもらうべきと考えました」(田淵医師)

 その高い技術を求めて、海外から訪れる患者も少なくない。

 一方で、田淵医師がライフワークとしているのが「がん予防」への取り組みだ。がんで命を落とさないためには、がんを早期で見つけ、的確な治療を受けられる仕組みづくりが必要-そう考える田淵医師は、医療消費者や医療界だけでなく、政治を含めて意識を変える必要があると説き、著作や講演を通じて啓蒙(けいもう)活動に力を入れる。

 「内視鏡が好きで仕方がない。若い頃は内視鏡を抱いて寝ていましたよ」と笑う田淵医師は、内視鏡を通じて“病気”の先にある“医療の未来”を見つめている。 (長田昭二)

 ■田淵正文(たぶち・まさふみ) 1958年、岡山県生まれ。東京大学医学部を卒業。同大医学部附属病院、東京共済病院を経て91年、中目黒消化器クリニックを開業し院長。東京女子医大、東大医科学研究所、東大腫瘍外科元講師。日本消化器内視鏡学会指導医、日本消化器病学会専門医ほか。「がん撲滅の会」理事長。趣味は将棋、カメラ、テニス。

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