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家庭用プリンターのインクカートリッジはなぜ割高なのか【コラムニスト・木村和久】

家庭用プリンターのインクカートリッジはなぜ割高なのか【コラムニスト・木村和久】 

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その59 ―

 前々から気になってしょうがなかったものがある。それは家庭用プリンターのインクカートリッジの値段の高さだ。あるとき有名メーカーのプリンターがセールで8000円ぐらいで売っていた。喜んで買ったはいいが、一緒に買った純正インクカートリッジの方が高くついて唖然とした。インクはフルカラーで揃えると5000円ぐらいする。すぐ無くなるので予備を買ったら本体より高いって、ありえない。しかも、その特売品プリンターはすぐ壊れたし。安物買いの銭失いとはこのことだ。

 そもそも純正インクカートリッジがなんで高いか。それは昔コピー機のトナーを法外な値段で売っていた、悪しき風習の名残りではないかと思う。コピー機の生い立ちは、最初値段が高くてリースだった。そのとき、使用枚数をカウントするのもあって、枚数に応じてお金を払う契約もあった。コピー屋さんは、売っておしまいにせず、細く長く永遠に儲ける方法はないかと考えたのだ。技術革新が進み、コピー機の値段もだいぶ安くなり、リースを辞めて買うお客さんも増えた。そうなるとリースの保守メンテ&枚数契約ができない。そこで目をつけたのが、割高な値段のトナーである。粉ひと瓶1万円って、ありえん。細かい微粒子だからこそ、綺麗な写真のようなコピーができるんですよと言うけどさ、高すぎだよ。しかも、粉がよく詰まったし。詰まるたんびに業者を呼んで、クリーニングしてもらうが、そのつど粉を買わされてさ。いいカモだったなあ。

 今や、家庭用プリンターのインクカートリッジは、他社から格安のサードパーティ製品が出回っている。しかもメーカーは、それを使ったら壊れたとき保証しませんとかいうし、なんじゃこりゃだよね。

 別に安い、非正規品を買えばいいんじゃんで済まされる問題ではないと思う。世界を代表するグローバル企業が、わざと割高な純正カートリッジを売って、それをビジネスモデルにしていることに納得いかないのだ。

 フェイシャルエステで、よく美顔器を買わされるケースが多いけど、美顔器の値段もさることながら、付属品のジェルがこれまた高い。消耗品の方で儲けているんですな。まあそういうことをプリンター業界で、やっていいものかと、言いたいのですよ。

 だってサードパーティ製品があるってことは、結構安く作れることを証明しているわけでしょう。消費者は印刷の質が悪くても、そのレベルで満足している。つまり写真をプリントするならともかく、黒インクで書類をプリントするのに、そんなにお金をかけていられないのだ。

 家庭用プリンター業界のせこさを、象徴しているのが、インクカートリッジの種類の多さだ。なんで新機種を出すたんびに、インクカートリッジの形状を変えるかな。1タイプにして10年ぐらい同じでいいだろう。新しいプリンターを買うとき、以前の機種のインクをまとめ買いしてたら、地獄だからね。

 この際、逆転の発想でさ、他社との共通インクカートリッジを作るとか、そういうことやって、社会貢献して下さいよ。

■木村和久(きむらかずひさ)■

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

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