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広島・黒田に立ちはだかる3つの難敵 “男気”で乗り越えられるか
米大リーグ・ヤンキースから8年ぶりに広島に戻った黒田博樹投手(40)が25日、沖縄キャンプで初めてのフリー打撃に登板。打者2人に計35球を投げ安打性の当たりはわずか2本の好内容。復帰ロードの歩みは順調そのものだ。ベテラン右腕は米球界からの年俸20億円のオファーを蹴り、古巣へ帰ってきた。その決意と毅然とした姿が称賛を受けているが、ファンの共感を呼んだ“男気”の前には、多くの難関が待ち受けている。 (片岡将)
午後12時。黒田がマウンドに立つと、スタンドのファンがわき上がった。600人の大歓声に後押しされるように、背番号「15」が躍動した。
ドラフト1位・野間(中部学院大)と高卒3年目の鈴木誠を相手に直球、カーブ、スライダー、カットボール、ツーシームを35球。2人のバットから弾かれた安打性の打球は2本。スプリッター以外は全球種を投げたという黒田は「状態は徐々に上がってきている。昨季の終わりからバッターに投げていなかったので、1つステップアップしたとはいえるでしょうね」。昨年9月25日以来の打者との対戦を振り返った。
先輩右腕と対戦した野間は「こういう機会は本当にない。大学の投手とは全然違う。楽しかったです」と顔を紅潮させた。ネット裏から視察したヤクルト・衣川スコアラーは「ツーシームとカットボールは特に動いていましたね。年齢による衰えは感じない」と警戒感を強めた。8年ぶりの日本球界への復帰ロードは、まさに順調だ。
米球団からの年俸20億円のオファーを蹴って古巣に戻った40歳の決断は共感を呼んだ。だが、この“男気”の前には、多くの難関が待ち構えている。その1つは日米球界のギャップだ。
「これから実戦を経て、登板間隔の違いや、何球を目安に交代するのか。われわれが気になるのは、そのあたり。日本のやり方に戻して、すんなり入っていけるかどうか」(同スコアラー)
中4日で登板するメジャーでは100球が交代のメド。日本では120球以上を投げることもザラで広島の登板間隔は中6日になる。球の縫い目の高さや質感、マウンドの硬さにも差がある。
黒田も「日本を7年間離れていたわけで、向こうの感覚では入れない。試合を経験していく中で感じていくものもある。こればかりはシーズンに入らないと分からない」と慎重に構えている。
過熱するファンの声援も障壁となりそう。この日の登板後にはスタンドから拍手が送られた。黒田は「何だか不思議な感じはしました」と苦笑いしたが、球団OBは「ファンの期待が最大限に高まっている。重圧を感じるかもしれない」。熱すぎる期待に“男気”で応えようと、スロー調整を続ける右腕がペースを乱すことを懸念するのだ。
何より不安なのはメジャーで激投した黒田の“燃え尽き症候群”だ。
右腕は米国での7年間を「苦しかった。言葉も分からない中、1シーズンの162試合を戦い抜く。苦しい思いの方が多かった」と語っている。15億円以上にのぼった巨額契約に見合う成績を残すため、死力を尽くしてきたが「戦いの苦しさだけでなく、言葉や文化の違いにも疲れてしまったのかもしれない。メジャーでの生活で燃え尽きてしまっていなければいいが…」(同OB)。
目前に立ちはだかる障害を“男気”で乗り越える姿を見たいところだ。