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弾ける「局地バブル」 今が最後の「売り時」か
【マンション業界の秘密】一部の地域で不動産バブルが続いている。首都圏では山手線周縁部と世田谷、武蔵小杉。近畿では京都の御所周辺と下鴨。そして宮城県の仙台市全域。エリアが限定されている。その他の地域では、少し上がったくらい。言ってみれば「局地バブル」だろう。
不動産といえども、その価格は需要と供給の関係で決まる。非常に偏った一時的な需要によって価格が形成されている状態がバブル。相続税対策や外国人の買いが価格の高騰につながっている今の都心は、まさにそれだと言える。
バブルは必ず弾ける。では、これがいつ終わりを迎えるのか。
東京五輪が開催される2020年まで続く、という説がよく紹介されている。そんなに長いはずはない。バブルは短期間だからバブル。五輪まで今の局地バブルが続けば、それは本物の地価高騰だ。まともな需要がないのに、そこまで不動産価格の上昇が続くとは考えられない。
17年4月に消費税が10%に上がるのは、ほぼ確実視されている。今まで消費税が上がった後には必ず景気後退が起こった。不動産市場もその波をかぶって動きが鈍くなるはずで、その時にこの局地バブルも弾けると考えるのが自然だ。
そうでなくてもこの局地バブルは需要が偏っているので、弾けやすい特性があるとにらんでいる。何かのきっかけさえあれば、不動産価格は一気に下落し始める可能性がある。
例えば、ギリシャのデフォルトやウクライナ情勢の悪化、中国経済の不況突入、原油の再高騰といった外部要因が引き金を引く可能性がある。
08年のリーマン・ショックは、サブプライムローン問題をベースにしている。あの時、多くのエコノミストたちは「日本には直接関係がない」というコメントを出していた。結果はどうなったか。
今、世界経済はグローバル化してしまった。地球の裏側の出来事が、日本経済に大きく影響する。そして、不動産取引といえども経済の一部で、景気が悪化すれば不動産取引も鈍る。価格も下がる。
そもそも「住む」という実需でない取引で膨らんでしまった都心の不動産バブルは、何らかの利益を狙った投機的な売買によって膨らんでいる。これは脆弱な価格形成だ。
都心や駅近の好立地以外に「住む」あるいは何かで「使う」目的のない不動産を所有している方々に申し上げよう。
「不動産は、今が売り時です」
特に今後もバブルの影響を受けないし、再び資産価値が向上する見込みのない地方の不動産は、値があるうちに売るべきだ。実家の処分に頭を悩ませているのなら答えは出ている。
「今後住む予定がないのなら、売る」
すでに売れない状態であれば、もらってくれる人を探すべきだろう。所有権がなくなれば、さまざまな責任もなくなる。固定資産税も払わなくて済む。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。2015/3/19 16:56 更新