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役人根性まる出し! トクホ(特定保健用食品)認定に蠢く「大手優遇」「事なかれ主義」「私利私欲」を暴く(1)
トクホ、いわゆる特定保健用食品(消費者庁許可)は、1991年に保健機能食品制度が定められて以降、急成長を遂げてきた。市場規模は4000億円に達し、健康食品まで広げれば今や1兆円を超える巨大マーケットだ。
だが2009年、トクホの信頼性を大きく揺るがす事件が起こる。化学メーカー最大手の花王が発売した食用油『エコナ』に、発がん性物質の「グリシドール脂肪酸エステル」が高い濃度で含まれていたのだ。
花王は販売を中止した上、商品を自主回収したが、この発がん性物質に対して“暫定的健康影響評価”、つまり「トクホとしてノー」と判定したのが、そもそもトクホに“お墨付き”を与える立場でもある内閣府所管の『食品安全委員会』(以下、安全委)だった。
製造者がトクホの認定を受けるための通常の流れはこの安全委と、さらに同じ内閣府所管の消費者委員会(以下、消費者委)両方の“お墨付き”をもらい、最終的には消費者庁から許可を得なければならない。
実は現在、トクホの番人であるこの安全委から「安全性を評価することはできない」と意味不明な判定を下されている“トクホ”がある。開発したのは『リコム』(東京)というベンチャー企業で、鍋の季節に欠かせないエノキタケから抽出した成分を含んだ『蹴脂茶(しゅうしちゃ)』という肥満改善のための健康茶だ。
この『蹴脂茶』の機序(仕組み、メカニズム)について、リコムは次のように説明している。
《抽出物に含まれる遊離脂肪酸混合物が腸管から吸収された後、血液循環によって、脂肪細胞表面に存在する『βアドレナリン受容体』への結合を介して、脂肪の低減作用を発現する》
リコムは’08年、5年にわたってこの機序を証明するデータを蓄積し、それを添付した上で消費者庁に申請した。だが、今回の安全委の結論により、4億円の資金を投じて収集してきた臨床データが台無しになったばかりか、『蹴脂茶』の発売自体もメドが立たなくなってしまった。中小企業としては死活問題である。
安全委が指摘した「安全性を評価できない」点について最も重要と思われるものは、《βアドレナリン受容体刺激作用は、近年、急性心筋障害を起こす可能性を否定できない。しかし、本試験は心筋への影響を評価するために必要なデータを提供していない》という心臓系への副作用の疑いが指摘されたことだ。
「生体内の作用機序については、学術論文4報を提出し、安全委に先立って行われた消費者委の議論で了承されています。安全委の役割は消費者庁の諮問を受けて、安全性を評価することであるのに、消費者委で了承された作用機序に言及しているのです。これはおかしい。そもそもエノキタケは日本人が長年食してきたもので、健康被害の報告はありません。また蹴脂茶成分の遊離脂肪酸混合物はありふれたもので、日本人が常食している他の食品にも含まれている安全なものです。安全委は『ヒト試験では何の副作用も出ていない』と言う一方で、『新規メカニズムなので、副作用の可能性が完全に否定できない』と、前例がないからダメだと言わんばかりの妙な理屈を持ち出しているのです」(リコム・浜屋忠生社長)