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韓国の中国投資銀参加で危険インフラ工事がアジアに拡散の恐れが…
中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」への参加を決めた韓国。自国の経済が低迷するなか、インフラ関連企業が国内外で受注を拡大する千載一遇のチャンスと舞い上がっている。しかし、韓国企業のインフラ関連工事をめぐってはこれまでに国内外で深刻な事故が繰り返され、先月下旬もベトナムの港湾工事で13人が死亡する事故が引き起こされたばかり。韓国発の危ないインフラがアジアに拡散してしまうのか。
「AIIB参加決定で建設、通信、交通など、インフラ事業の経験が多い韓国企業の事業参加が拡大される可能性もある」
韓国企画財政部はAIIB参加決定の声明で、韓国企業の「実利」への期待感を露骨に表した。
中央日報は、アジア地域で2020年までに年7300億ドル(約87兆円)規模のインフラ施設投資需要があるというアジア開発銀行の試算を紹介したうえで、企画財政部関係者の「AIIB創設メンバーに属しなかった国の企業は関連工事を受注しにくくなるだろう」との見解を報じている。
しかし、心配なのは韓国企業が国内外のインフラ建設工事でいろいろと問題を起こしていることだ。
韓国がAIIB参加を決める直前の3月25日、ベトナム中部ハティン省のブンアン経済特区にある港湾埠頭工事現場で、高さ約30メートルの足場が崩壊、作業をしていた13人が死亡、30人近くが負傷する事故があった。死傷者はすべてベトナム人だった。
工事を請け負っていたのは、サムスングループのゼネコン、サムスン物産。現地の報道によると、事故直前に足場は大きく揺れていたが、現場監督は作業を続けるよう命じたという。サムスン物産側はこれを否定したが、ベトナム当局はサムスン物産の韓国人従業員を出国禁止とし、同社を訴追したという。
韓国国内でもトラブル続きだ。韓国ロッテグループなどがソウル市内で手掛ける123階(555メートル)の高層商業施設「第2ロッテワールド」の建設現場では昨年、作業員の死亡事故、床やコンクリート部分の亀裂、地下の水族館での水漏れなどが相次いだ。
3月24日には、建設が100階を超えたことを記念し、工事の安全祈願の式典が実施され、グループの辛東彬(日本名・重光昭夫)会長は「安全最優先で韓国を代表するランドマークをつくる」と誓ったが、翌25日に韓国ロッテ建設が請け負うソウル郊外の京畿道竜仁市の道路工事現場で幅約15メートルの橋が崩落し、作業員9人が転落、1人が死亡する事故が発生した。コンクリートを流し込む作業中、橋が重さに耐えきれなくなったとみられる。
また、韓国内の原子力発電所では部品の品質保証書偽造が相次いで発覚、釜山市の新古里(シンゴリ)原発で建設中の3号機でも安全系統の制御ケーブル部品の品質保証書が偽造されていたこともあり、稼働開始が遅れている。
悪いことに、韓国はアラブ首長国連邦(UAE)に新古里3号機と同じモデルの原発を輸出している。聯合ニュースによると、UAEは原発の安全性をまず韓国で証明してほしいという意味で、新古里3号機を今年9月までに稼働していなければ、毎月工事代金の0・25%を遅滞補償金として韓国側が支払う契約が存在するというのだ。新古里3号機の9月稼働は困難な状況で、違約金を支払う可能性が高いとしている。
ほかにもインドネシアでの高炉の事故や、今年2月のソウル市内で新築中の体育館の天井崩落事故、昨年には7階建てのマンションが完成間近で傾くなど、国内外の不適切な建設は枚挙にいとまがない。
それでも、内需が不振なうえ、ウォン高によって製造業の輸出にも強い逆風が吹いている韓国経済にとって、インフラ建設は命綱のような存在だ。米国の再三の制止を振り切って韓国がAIIBへの参加を決めたのもそうした背景がある。
だが、中国頼みの色合いを強める韓国経済は大丈夫なのか。週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「韓国は経済、外交的ともに中国への依存度を高めているが、AIIBのガバナンスには問題が多く、肝心の中国経済もバブル崩壊の崖っぷちだ。朴槿恵(パク・クネ)政権の選択が“大誤算”となりかねない」と指摘する。