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“かつら”業界にも3D化の波――アデランスが全店舗にワークステーションを導入
書籍や新聞、写真や絵画など、あらゆる情報がデジタル化されつつある。最近では3Dの情報をデジタル化し、データをやり取りするケースも増えてきた。特に設計図データの需要は高く、自動車業界などの産業向けから、個人向け3Dプリンタ用のデータまで、その用途は幅広い。
総合毛髪関連事業を展開するアデランスも、データのデジタル化を進める企業の1つだ。同社はオーダーメイドウィッグ(かつら)の作製作業をデジタル化するため、2014年12月にウィッグ作製用の3D型取りシステム「ADERANS M3D」を導入している。
個人の頭の形に合わせたウィッグを作るため、従来はフィッターという特殊樹脂製の丸い板を温めて柔らかくし、ユーザの頭部に合うように型を取っていたが、この型をレーザースキャンを使った3Dデータにするという取り組みだ。同社情報システム部課長の宮崎洋和さんは、サービス向上とコスト削減という2つのメリットがあると話す。
「樹脂製のフィッターを使う場合、材料費のほか、航空便などを利用してウィッグの生産拠点があるタイやフィリピンに送るため、輸送コストもかかります。また、フィッターは各店舗で保管するため、店舗のスペースを圧迫する上、長期間保存すると樹脂が劣化してしまうという問題もありました」
型を3Dデータにすることで、コストだけではなく輸送時間も減るため、商品の提供を早められるほか、全国の店舗で同じ情報を共有できるため、仮にユーザーが引っ越しなどで他の店舗を利用することになっても、すぐ要望に応えられる体制が整うという。
●アデランスが選んだワークステーション
今まで手作業で行っていた型取りをデジタル化するにあたり、「ADERANS M3D」をスムーズに操作できるPCが必要になった。同社は2013年9月からさまざまなPCベンダーのワークステーションを検討したが、3Dデータを扱えるだけの性能や、求めていたグラフィックスカードを搭載した状態で購入できるベンダーが少なかったそうだ。
「例えばワークステーションと別にグラフィックスカードが後日送られるとなると、ソフトのインストールや動作検証が必要になります。全国の店舗に導入するため、その作業を行うのは現実的ではありませんでした」(宮崎さん)
検討の結果、推奨スペックのマシンがパッケージ化されており、かつ動作が安定していたデルのワークステーション「Dell Precision T1700」を導入することに決めた。…