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ピーナッツ型緩衝材が電池になる?これがリサイクルの最先端
さすがに知らないひとはいないであろう、長さ数センチ、繭型のピーナッツのような緩衝材。通信販売などで買い物をした際に、ダンボール箱の中によく入っているヤツだ。
英語では“パッキング・ピーナッツ”などと呼ぶそうだが、このパッキング・ピーナッツを再利用したリチウムイオン電池の電極の作り方を、アメリカ・パデュー大学の研究チームが発表した。
■ リサイクルには不向きだった
パッキング・ピーナッツは廃棄やリサイクルに関して、実はやっかいな代物らしい。
緩衝材としては便利なので世界中で使われていますが、破砕しにくいこともあり、ほんの10%しかリサイクルされていません。密度が低いせいでリサイクル業者がパッキング・ピーナッツを運ぶためには大きなコンテナが必要になってしまうのです。そのためコストがかかり、あまり利益にならないのです。
と、研究チームのひとり、Vilas Pol教授は語る。そのためパッキング・ピーナッツは産業廃棄物として廃棄されることが多く、何十年もそのまま残ってしまう。でんぷん製のパッキング・ピーナッツは、ポリスチレン製のものより環境にやさしいものの、それでも化学物質や洗浄剤を含んでいるので、自然の土壌や水を汚染して、海の生物に害を及ぼすおそれがあるという。
彼らがこの研究をスタートしたきっかけは、新しい研究室を作ったときに大量のパッキング・ピーナッツが出たことだという。そこで、それをなにかに役立てようと思いつき、リチウムイオン電池において、従来のグラファイトを使った陽極よりも速く充電ができ、より高い比容量を実現する新しい陽極を作ることに成功した。
■ 簡単な工程で加工できる
その方法はシンプルだ。ピーナッツを不活性ガス炉のなか500~900度で過熱するというものだ。その際に遷移金属塩の触媒を使うこともある。その結果できる素材を陽極に使うことができるというのだ。研究チームのEtacheri氏によればこの方法は環境にやさしく、大規模生産にも向いているという。
従来の陽極に比べて、この新しい陽極は約10分の1の厚みで、より多孔性だ。そのおかげで電解液との接触性にすぐれ、充電も放電もより短い時間で可能だという。
グラファイトでできた従来の陽極の比容量は、理論値で372 mAh/gであるのに対して、パッキング・ピーナッツを原料にしたカーボン製の陽極では、最大で420 mAh/gの比容量を示したという。…