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ファルコン9ロケット、3月2日に初の衛星2機同時打ち上げに挑む
スペースX社は3月2日、ABS 3Aとユーテルサット115ウェストBを搭載した、ファルコン9ロケットの打ち上げに挑む。ファルコン9が2機の人工衛星を同時に打ち上げる(デュアル・ローンチする)のは今回が初となる。
打ち上げ日時は米東部標準時2015年3月1日22時49分(日本時間2015年3月2日12時49分)に予定されている。打ち上げが可能な時間帯は45分間が確保されている。2月25日にはロケットエンジンの機能確認のために行われる短時間の燃焼試験(スタティック・ファイア・テスト)が実施されており、打ち上げに向けた準備は着々と進められている。
目標軌道の数値は発表されていないが、スーパーシンクロナス・トランスファー軌道であるという。スーパーシンクロナス・トランスファー軌道とは、通常の静止トランスファー軌道とは異なり、遠地点高度が36,000kmよりもはるかに高い軌道のことで、これによって最終的に静止軌道に衛星が入る際に必要となるスラスター噴射が、通常の静止トランスファー軌道から行うよりも少ない燃料で済むという利点がある。
ABS 3Aは中国のアジア・ブロードキャスト・サテライト社が運用する通信衛星で、米国や欧州、アフリカや中東に通信、放送サーヴィスを提供する。一方のユーテルサット115ウェストBはユーテルサット・アメリカズ社が運用する通信衛星で、アラスカからカナダ、南アメリカに通信、放送サーヴィスを提供する。
ABS 3Aもユーテルサット115ウェストBもボーイング・サテライト・システムズ社が製造した衛星で、またボーイング社が開発した「オール電化衛星」こと、702SPと名付けられた衛星バスの技術を採用した最初の2機の衛星でもある。702SPはスラスターに、キセノンを使用するイオン推進システムを使っている。これにより、従来の化学推進やアークジェット推進を使っていた衛星に比べてはるかに効率が良く、衛星の軽量化や、あるいは同じ質量でも従来より多くの機器を搭載することができる。また衛星を2つ重ねて打ち上げることができるようにも設計されている。
ファルコン9が人工衛星を2機同時に打ち上げるのは今回が初となる。成功すれば、同社や同ロケットにとって、衛星の商業打ち上げ受注にさらにはずみがつくことになろう。
なお、今回の打ち上げでは、ファルコン9の打ち上げ能力を最大限に使うため、着地に使うための余分な推進剤や着陸脚を持つ余裕がないことから、第1段機体の回収試験は行われない。
■ABS/Eutelsat-1 Launch | SpaceX
http://www.spacex.com/sites/spacex/files/abs-eutelsatfactsheet.pdf