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浦安市 卵子凍結は少子化に歯止めをかけるか

 浦安市 卵子凍結は少子化に歯止めをかけるか

 

  千葉県浦安市と順天堂大浦安病院は2月23日、将来の妊娠に備えたい健康な女性を対象に卵子凍結保存の実施を公表した。希望者は病院倫理委員会の個別審査を受けることなど計画の概要も発表された。
  
  病院によると、卵子を凍結する女性は採卵時に20~34歳。使用できるのは本人のみで「45歳までに用いることを原則とする」とした。同病院の吉田幸洋院長は「有効性や、少子化対策に本当に寄与するのかといった点があり、臨床研究としてやる価値はある」と強調している。

 

  従来、卵子凍結保存とは、若年女性がん患者が卵子を化学療法や放射線療法を受ける前に体外に取り出すことによって、治療による生殖細胞への影響を回避する方法として試みられるものであった。

 

  しかし近年では、20代・30代と仕事のキャリアを積む時期と出産適齢期が重なった際に、出産が女性のキャリアの妨げにならないように、希望の時期に出産可能な時期に出産するというように出産の年齢を遅らすことでも試されている。

 

  女性の社会進出は、少子化を進行させている要因の一つであると捉えられているため、市は妊娠可能な健康な女性に卵子凍結によって少子化対策へ歯止めをかけようとしている。しかし、この方法は本当の意味で少子化対策の打開策になるのだろうか。
  
  日本産科婦人科学会の専門委員会は25日、若い健康な女性が将来の妊娠・出産に備えた卵子の凍結保存を「推奨しない」とする見解をまとめた。見解では、凍結した未受精卵(卵子)は凍結受精卵と比べて妊娠率が低いこと、卵巣を刺激する排卵誘発剤は体に負担がかかること、解凍後に受精卵を戻す際の高齢出産に伴う合併症などを指摘。生まれる子どもの健康に与える影響も不透明だとして、年齢を問わず推奨しないとした。

 

  同委員会は、女性の健康へのリスクや妊娠率が高くないという点を指摘し、浦安市の少子化対策に危惧する形となった。

 

  卵子凍結。少子化対策として一理あるが、高額な費用がかかる上に、通常の出産と比べて、負担やリスクが大きすぎるので、実際に活用する女性の範囲が狭く現実味を帯びない。さらに、社会や組織の昇格などのルールを優先し、妊娠などの自然現象をコントロールしたとしてもいつかどこかでしわ寄せがくるような気がしてならない。今後本当に少子化問題を解決したいのなら、今一度立ち返り社会の在り方を見直す方が先決ではなかろうか。(編集担当:久保田雄城)

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