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硫酸ぶっかけ男の転落 エリート一家の父親直撃〈週刊朝日〉
群馬県高崎市の女性たちを震え上がらせた“硫酸ぶっかけ男”の素顔は意外なものだった。4月2日、高崎市矢中町の商業施設で女性が硫酸をかけられ、足にけがをした事件が発生。7日、県警は傷害と器物損壊の疑いで北村宣晃(のりあき)容疑者(30)を逮捕した。2日から6日にかけて高崎市内では他にも4人の女性が同種の事件の被害に遭っており、すべて北村容疑者が関与しているとみられる。
今回の一連の事件では、計5人の被害女性のうち4人が黒いストッキングにスカート姿だったという。
北村容疑者は3人姉弟の真ん中として高崎市山名町で小中学時代を過ごし、県内トップの偏差値を誇る県立高崎高校へ進学した。父親は大学で日本文学を教える准教授で、母親は地域の緑地や公園を掃除するなど環境活動に熱心なエリート一家育ちだった。高校の同級生はこう語る。
「漫画やパソコンゲームが好きでマニアックな作品にも詳しかった。でも、決してオタクっぽいタイプではありませんでした。むしろ、勉強も運動も得意でピアノも上手な優等生。成績はずっと上位で東大や京大を目指すクラスにいました」
前出とは別の高校の同級生もこう振り返る。
「宣晃君は休み時間に参考書を読むなどしていて、勉強熱心でしたね。でも、東大を目指した結果、受からなかったと聞いています」
高校卒業後、北村容疑者は立教大学に進学するも中退。その後、派遣でゲーム会社で働いていたという。
だが、北村容疑者は2年前から似たような犯罪を繰り返すようになった。
東京都江戸川区で一人暮らしをしていた北村容疑者は昨年11月、女性の下着を盗もうとして警視庁に現行犯逮捕されていた。
余罪として2013年11月から14年4月にかけて3件、尿や精液を女性にかけたことなども判明し、3月半ばに執行猶予付きの有罪判決を受けたばかり。高崎市の実家に戻り、蟄居中にまた事件を起こした。近所の住民はこう語る。
「宣晃君が高校を卒業してからのことでした。家の前に救急車がやってきて、淡々とした様子で歩きながら乗り込んでいきました。そして、昨年の暮れか今年の頭にも同じようなことがありました。けがをしている様子はなかった。何があったのでしょうか……」
都内で父親を直撃すると言葉少なげにこう語った。
「今度、勤務先で会議があり、私のほうから息子の件で話をしなければいけません。現在、そのような状況の中で退職願を持って働いております。だから、申し訳ございませんが、いまは何も言えません」
北村容疑者は否認を続けているというが、その心の闇は解明されるのか……。
(本誌取材班=山内リカ、上田耕司、福田雄一/黒田 朔)
※週刊朝日 2015年4月24日号