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第二十七回 売り手市場。再熱の予感
最近、労働環境が改善しています。
労働環境といっても、オフィスの椅子がよくなったとか、残業が減ってワークライフバランスが良くなったということではありません。むしろ、その辺りは悪化しているかも(笑)。というのは、労働市場が逼迫してきているからです。
求人のタイミング
企業は、景気がよくなって売り上げが伸びてくると、まず今いるスタッフに残業させて生産量を増やそうとします。
それで間に合わなくなると、パートタイムの人を増強して一時的に雇用を増やすようにします。正規労働者はコストが高いうえに、いざ景気が悪化したときにもおいそれとはクビに出来ず、生産縮小のための機動性に欠けるからです。
ただ、パートの増員は人手の増強には役立ちますが、先端的な開発その他のスタッフとしては使いにくいでしょう。その辺の労働力も不足してきたり、パート市場が底をついてくると、仕方がないので正規労働者を増員します。
その辺を確認するために、政府統計をみてみましょう。
この図は、厚生労働省が発表している、有効求人倍率です。季節調整という補正をおこなった数値でみています。
有効求人倍率(出典/厚生労働省)
有効求人倍率は、職安での求人と求職の比率を示したものです。求人が求職を上回ると1を越えてきます。例えばこの数値が2だとすると、二つの会社が一人の求職者を取り合うということになります。それは労働が売り手市場になるということです。
過去、高度成長期の終わり頃や昭和末期のバブル経済の時期を除くと、だいたい上限が1.5くらいであることがわかります。現状で、その上限水準になっています。
では、総務省の労働力調査で公表されている、完全失業率をみてみましょう。
完全失業率(出典/総務省)
日本の失業率は、80年代から徐々に悪化傾向にありました。一時的に2000年のITバブルの頃に下がっていますが、ITバブルの崩壊に合わせるようにまた悪化しています。
これは、労働力人口が増加するなかで、生産のオートメーション化や海外シフトが進んだこと、バブル崩壊後の長いバランスシート調整のなかで人員整理も進み、労働のミスマッチが悪化したことなど様々な理由が考えられます。
さらに、2007年から2008年にかけて「サブプライムショック」「リーマンショック」「ユーロ危機」と続いた世界的な景気後退の悪影響もあり、2011年まで失業率は悪化の一途をたどっています。
それが、2012年になって反転しました。…