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電王戦FINAL第4局観戦記 金井恒太五段
第2回電王戦で佐藤慎一四段に歴史的勝利を収め、翌年の第3回では最終局で屋敷伸之九段を破ったponanzaが今年の電王戦FINALでは第4局に登場する。電王戦最多出場でプロ棋士に2戦2勝という成績を残しているponanzaはファンも多く、人気の高いソフトだ。魅力ある攻撃的な棋風だけではなく、開発者の山本一成さんが与える爽やかな印象と勝利への貪欲な姿勢もその一因だろう。
さて、ponanzaは定跡を自力で一から作り上げている。本来はその範囲内であればノータイムで指すのだが、今回は5回に1回程度の割合で自ら「定跡」としている局面であっても改めて思考するようになっている。この微妙な設定は対局にどのような影響を与えることになったのだろうか。
村山慈明七段は棋界有数の研究家として知られている。プロ間では「序盤は村山に聞け」という言葉があるほど信頼されている存在で、代表が決定する前から村山の電王戦出場を望む声は多かった。
村山は対局の約半年前から電王戦に向けて準備を始めた。まずは様々な戦型を試しながら盤数をこなした。しかし、公式戦ではたくさんの白星を挙げている得意な戦型になってもなかなか勝率は上がらなかった。これは何か特別な作戦を用意する必要があると感じ、研究家らしくponanzaの序盤に関する分析を進めた。
年が明けた頃、村山が相横歩取りを研究しているという情報が棋士仲間から入ってきた。兄弟子の飯島栄治七段とあらゆる変化について研究し直しているとのことだった。
「相横歩取り」という戦型は激しい戦いになりやすく、中盤を通り越して一気に終盤戦へと突入する可能性が高い。終盤まで想定内の局面が続けば研究の威力はさらに増す。
村山は試行錯誤の末、ponanza相手にヒットを何本も打つことは難しいと判断してホームランを狙う作戦へと切り替えたのだった。
「まず45%を引けるかどうかが大きいよ」
対局前日、京都から西ノ京に向かう電車の中で村山が教えてくれた。第1図は△7六飛と後手が相横歩取りに持ち込んだところで、先手は7八の金取りをどう受けるかという局面だ。プロの公式戦では▲7七銀が一番人気で、▲7七桂が次いで有力視されている。▲7七銀と上がる定跡は特に有名で、プロ棋士でなくとも横歩取り愛好家なら知っている変化だろう。しかし、前述したようにponanzaは自力で定跡を作り上げている。第1図では▲7七銀と▲7七歩を「定跡」としており、それぞれを採用する確率が約45%、▲7七桂を指す可能性は1割程度というデータがあるという。…