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<大震災4年>津波被災石巻・大川小「全体保存」市に要望へ
東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人の計84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の被災校舎の保存について、地域住民で作る「大川地区復興協議会」と遺族との集会が8日開かれ、参加者にアンケートを実施した結果、「全体保存」を望む意見が最多となった。協議会の大槻幹夫会長は「全体保存を求める要望書を市に提出することになる」と話した。市は住民の意見を踏まえて検討を始める方針で、保存に向けた議論が大きく動き出す。
この日の話し合いには遺族や現在の大川小の保護者を含めて約120人が参加。(1)全体保存(2)一部保存(3)解体し、立体映像で見せる拡張現実装置の設置−−の3案について参加者から賛否の意見を聞いた後、アンケートを実施した結果、「全体保存」が57人で最も多かった。「一部保存」は3人、「解体」が37人、「その他」が15人だった。
話し合いでは、娘を亡くした男性が「負の遺産。亡くなった子らも(校舎を見て)親が苦しむ姿を喜ばない」と解体を求める一方、地元での意見表明をためらってきた同小の卒業生6人も発言。当時5年で、津波にのまれ助かった只野哲也さん(15)が「校舎を見ることはどんな文章や映像よりも強い印象を与える。なくなれば友達や地域の人が生きた記憶が薄れ、本当の意味で死んでしまう」などと訴えると、涙を流す遺族の姿もあった。
「全体保存」が多数を占めた結果について、遺族会の鈴木典行会長(50)は「遺族会が12年8月にとったアンケートでは壊す方がいいという意見が多かったが、遺族の間でも保存を求める声が増えている。来られなかった遺族もいるが、住民、遺族が集まって出た意見として意味がある」と述べた。
同協議会はこれまで、被災校舎を地区の復興の中心と位置づけ、校舎周辺を「鎮魂の森」として公園化する整備案をまとめている。市は津波火災の跡を残す市立門脇小の保存の検討を進めているが、「大川小についても住民、遺族の意見を尊重し対応を検討する」としている。【百武信幸】
◇大川小学校の被災校舎
太平洋から約4キロの北上川右岸に建つ2階建て校舎。東日本大震災で屋上を越える津波にのまれた。教室と体育館を結ぶ渡り廊下はねじ倒され、校舎全体が吹きさらしの姿で残る。現在も国内外から追悼に訪れる人が絶えない。児童23人の遺族は昨年3月、宮城県と石巻市を相手取り、損害賠償を求めて仙台地裁に提訴。安全対策を怠ったとして学校側の責任を問う裁判が続いている。