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なぜタイ航空局は安全性を問題視されたのか
Aviation Wireが3月13日にスクープした、国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)によるタイ航空局に対する「重大な安全上の懸念(SSC)」の指摘問題。その後、ICAOはタイ当局にSSCを指摘した。
この影響を受け、タイの航空会社は現在就航している定期便やチャーター便については運航を継続出来るものの、日本をはじめとするICAO加盟国への新規就航や、増便などのスケジュール変更、機材変更などが出来ない状況になった。
フルサービス航空会社やLCC(低コスト航空会社)といったビジネスモデルによる差異はなく、タイの航空会社であれば等しく適用されるものだ。
同様の事例では、ICAOは2009年にフィリピンの航空当局に対してSSCを指摘。2013年にSSC指定を解除した。この時も、日本路線の新設などに影響が出ている。
はたして、今回の影響はいつまで続くのだろうか。
◆問題視された安全審査体制
ICAOが問題視しているのは、タイ当局の安全審査体制だ。航空会社が新路線の開設などを当局に申請した際、担当者が不十分な知識で審査をしており、ICAOが定める安全監査基準を満たしていないと判断した。現時点で大きな問題は発生していないが、今後も担当者が知識不足のまま前例踏襲による判断を続けていくことで、将来的な重大問題の発生につながる可能性を懸念しての判断とみられる。
しかし、ICAOでは本件を公にはしていない。複数の関係者によると、ICAOはタイ当局に対してSSCを指摘しているが、公表までには90日程度の猶予が設けられるという。このため、90日以内にICAOに対して十分な改善策を示せれば、表面化する前にSSC指定は解除される。しかし、前出の関係者は「期限内にICAOを納得させるのは難しいのでは」との見方を示す。
対するタイ当局は地元メディアに対し、ともすれば楽観的とも受け取れる発言をしている。
その背景には、米国の場合はFAA(米国連邦航空局)の、欧州はEASA(欧州航空安全局)の意向が反映される傾向が強く、現時点ではどちらもタイ当局の安全性について、大きく取り上げていないことがある。ICAOは国際機関ではあるが、欧米については各当局がより強い影響力を持っていると言える。
ICAOの判断を受け、日本の国土交通省航空局(JCAB)や、中国と韓国の航空当局はタイの航空会社に対して、新規就航などを認めない措置を取り始めている。欧米が動いていない現状から、タイ当局は影響が限定的だと受け止めているようだ。
◆訪日旅客数に影響も
タイから日本へは、LCCを中心に新規就航が控えており、すでに影響が及び始めた。現在の計画からは、最低でも3カ月から6カ月程度ずれ込むとみられる。
3月25日、タイのLCCのノックスクート・エアライン(NCT/XW)は、3月末までに予定していた成田-バンコク(ドンムアン)線の定期便就航を延期した。ICAOの判断を受け、JCABが認可を保留しているためだ。同社はタイ国際航空(THA/TG)系LCCのノックエア(NOK/DD)と、シンガポール航空(SIA/SQ)系LCCのスクート(SCO/TZ)が合弁で立ち上げた。ジャーマンウイングス(GWI/4U)の墜落事故など、LCCに対する不安の声が聞かれるが、本件はタイ当局側の問題に起因するものだ。
2014年9月1日にバンコク(ドンムアン)から成田空港と関西空港へ就航したタイ・エアアジアX(TAX/XJ)は、今年5月1日から札幌-バンコク線を1日1往復で開設予定。LCC以外でも、エイチ・アイ・エス(HIS、9603)などが出資し、タイを拠点とするアジア アトランティック エアラインズ(AAQ/HB)が、今夏に日本へのチャーター便を計画している。これらの認可が下りるかは、現時点で明確になっていない。
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、タイからの訪日者数は、2013年は前年比74.0%増の年間45万3642人で、今年1月は前年同月比64.9%増の4万4800人と、大幅な増加傾向がみられる。今後の動向によっては、今年の訪日旅客数の伸びに影響が及びかねない。