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中国牽制を狙うモディ外交
インドのモディ首相は先週、インド洋に浮かぶ3カ国、セーシェル、モーリシャス、スリランカを歴訪した。最終訪問国のスリランカをインドの首相が訪れるのは28年ぶりのことだ。モディの周辺国外遊には、南シナ海からインド洋に至るシーレーン確保を目指す中国の「真珠の首飾り」戦略に対抗する狙いがある。
モディの歴訪を控えた今月初め、インド政府はスリランカに最大出力500メガワットの地熱発電所を建設する計画を発表。周辺国への影響力拡大に向けた強い決意を見せつけた。
先月には就任後間もないスリランカのシリセナ大統領がインドを初訪問し、民生用の原子力開発で協定を結んだ。報道によれば、シリセナはラジャパクサ前大統領時代の中国寄り外交を修正すると約束したという。
ラジャパクサ前政権は原子力利用でパキスタンと組む意向をにおわしていた。パキスタンの原子炉は大半が中国製だ。
スリランカをめぐる中国との綱引きでは、モディは苦戦しそうだ。勝負の鍵を握るのは、中国の投資でコロンボ沖の埋め立て地で建設が進むポートシティー事業だろう。シリセナ政権は総額15億ドルのこの事業の中断を決定したが、中国は工事続行の圧力をかけている。ほかにも中国資本による港湾整備事業はめじろ押しで、シリセナは近々中国詣でを行うもようだ。
モディは昨年5月の就任以来、周辺国との関係強化に取り組んできた。自らの就任式に南アジア地域協力連合(SAARC)加盟各国の元首を招待し、その後ブータン、ネパール、ミャンマーを訪問。来年11月にはSAARCの首脳会議に出席するためパキスタンの首都イスラマバードを訪れる予定だ。
インドはモーリシャスをはじめSAARC非加盟のインド洋の島しょ国にも急接近を図っている。モディが野心的に進める近隣外交。問題は中国がどこまで黙って見ているかだ。
[2015.3.24号掲載]
アマン・マリク